闇と月



見た目よりがっしりと筋肉のついた体。

仁からは、蓮にぃと同じ香水の香りがする。

その香りに思わず震える手を仁の背中に手を回す。

何だかすごく安心する。

すると仁は、私の背中をゆっくりと上下に私の体を摩ってくれた。

「大丈夫、大丈夫、よく頑張ったな柚華。」

そう何度も言いながら。

次第に私の震えは涙へと変わっていった。

もう、ずっと泣いていなかったら、とうに涙は枯れたと思っていたのに。

私の目からは次々と涙が流れ出す。

まるで壊れてしまったかのように…


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