闇と月
ふわふわしていてく、柔らかい髪。
私は頭から仁の頬に手を移動させた。
きめ細やかな綺麗な白い肌、
女の子なら誰もが羨むであろう綺麗な肌だった。
そしてふわっと香るこの香水の香り。
夢で見た私を引っ張った腕は仁なんだと思った。
彼なら、真っ暗な暗闇でも月のように優しく明かりを灯してくれるような気がした。
太陽でなく、月。
太陽は私には眩しくて、明るすぎて、影をより一層濃く、黒くなってしまうから…
月が良い。
何だか最近は仁の事を考えてばっかりだな。
「柚華、体調もう大丈夫か?」
『大丈夫。仁ずっとここにいたの?』
私、そういえばどれくらい寝てたんだろう…
だいぶスッキリしているから結構寝てたと思うのにその間ずっと…?
「あぁ。」
『ありがとう。』
「俺は、何があっても柚華から離れないからお前から離れようなんてするなよ。」
『うん…』
人間だから心変わりするかもしれないし、何があるかわからない。
でも、何故だか仁の言葉は本物のような気がした。
彼なら、月光なら本当にって…
そう思わされるものが仁にはある。