闇と月
七章 退院〜柚華sayd〜
コンコンコン
『はーい。どうぞ。』
誰だろう?
仁もベッドの横にある椅子から立ち上がった。
入ってきたのはゆうだった。
「お疲れ様です。」
仁はそう言い頭を軽く下げた。
「仁君、今日はそろそろ面会時間終わるからまた明日おいで。」
「わかりました。また明日来る、柚華。」
『時間があったらで大丈夫だよ。』
「あぁ、ゆっくり休めよ。」
「うん、」
またな、と言葉を残し仁は帰っていった。
「仁君変わったね。あんな優しそうな表情初めて見たよ。」
『そうなの?』
変わったのかな?
私には変わったと分かるほど昔の仁は知らない。
出会ってからまだ2ヶ月くらいだしね…
そう考えると本当に最近の仁の事しか知らないのだと感じた。
「そうそう柚華ちゃん、これからまた軽い検査あるから、移動できる?」
『うん、大丈夫。』