闇と月


特にする事もないので適当にテレビをつけ、誰かが持って来てくれたのであろう飴を口に放り込む。

いちごミルクの甘い味が口の中に広がる。

テレビからは今日の天気予報が流れてくる。

今日は雷雨に見舞われるらしい。

確かに窓の外は朝のこの時間にしては暗く、灰色が広がっていた。

ガラガラと扉が開く音がして扉のほうを見るとゆうがトレーを持ってきていた。

今日は看護師さんじゃなくてゆうの日か…なんて考える。

「柚華ちゃん、ご飯持ってきたよ。」

まだお腹空いてない…

どうしよう。

でも、少しは手をつけないとゆうは出て行ってくれないし…

看護師さんならトレー置いたらすぐ出て、また回収にくるって感じなのに…

そんな考えを読んだのかゆうは、

「まだ、食べれない?」

『うん、ごめん…』

うん、と首を縦に振ると、

「そっか、じゃあデザートのゼリーは食べてくれると嬉しいなぁ〜」

顔と口調があっていない…

有無を言わせない顔だ、いやオーラというのか、とにかくゼリーには手をつけないと出て行ってくれなそうだ。

『わかった…』


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