闇と月


「そういう訳ではありませんが、あまり煙草が好きではないだけです。」

渉は少し驚いたような顔をしながら謝った。

まぁ元々私もタバコ嫌いだった。

けどあのことがあってからは手放せない…

吸わずにはいられない。

私はそんなことを思いながらまた新しいタバコに手を伸ばそうとしたらもう中身がなくなっていた。

下を見たら吸い殻が灰皿の上に沢山捨ててあった。

「お前、吸いすぎだ。」

総長の仁には言われたくないし…

『逆にみんなは吸ってないの?暴走族なのに?』

私はどこか少しバカにしたような口調でそう聞いた。

「僕達はあんまり吸わないよー!先代の方が基本は吸っちゃダメって禁止したの!」

そーいえばあの人、私のためにタバコやめたんだっけ…

『そんなのちゃんと今でも守ってんの?あんな昔のことを…』

この時私は気づかなかった。

最近色々あったせいで気が緩んでいたんだろう。

みんなが驚いたような顔をしていることに…

そしてまた失態をするということに…


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