闇と月
「柚華。」
え、なんで…?
なんで貴方がここにいるの。
帰ったはずなのに…
『仁…なんで…』
「お前の様子がおかしかったって翔から連絡もらってな…柚香何考えてたんだ?」
翔から…連絡。
『別に何も考えてない。』
考える…?
そうだ、私寂しいはいらないから、
「柚華、ちゃんと言ってみろ。」
『……』
何を言えばいいの…?
「翔はお前のことが心配で俺に電話かけてきたんだ。で、来てみれば俺が来たことに気づかないくらいずっと何かを考えてる。それは俺に言えないことか?」
それは…
『本当に、なんでもないから大丈夫。』
言える、言えないとかでは無い。
これは私の中の問題だから言っても意味は無い。
言っても何も変わらない。
「本当になんでもない事なのか?柚華はもう1人じゃねぇんだよ。こんなに手が震えてるのに、それでもなんでもねぇって俺らを遠ざけるのか?」
そう言い仁は私の手を握った。
いつの間に私の手は震えていたのだろう…
仁の温かい手が私の体温の下がった震えている手を握り、安心が広がった。
気づいたら私の口から言葉が出ていた。