闇と月


『私に寂しいはいらないの…』

きっといきなり言い出した私の言葉は他の人からすると意味の分からないことだろう。

それでも仁は話を聞いてくれた。

『翔が、来てくれて少し嬉しいって思った。でも、それが寂しい、苦しいになるなら私はいらない。人と一緒にいることで1人になった時苦しくなるなら私は…』

そう言うと仁は握っていた私の手を引っ張り私を優しく包み込んだ。

「1人にさせて悪かった…もう、何も考えるな。それに柚華、寂しいは苦しいことじゃねぇよ。だってそれは仲間や居場所があるって事を知ってるってことだろ?」

仲間がいる事を知っているから、

居場所があると言うことを知っているから、

寂しいって思うの…?


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