闇と月


だから、娘みたいなもんって言われて嬉しかった。

「朱音、いつまで玄関に柚華を立たせとくつもりだ?」

そういったのは鬼怒崎組 組長 悟くんだった。

「あ、ごめんね〜。ささ、上がって!!」

朱音さんのテンション高めな性格はこー君に似ていて、いつでも冷静だけど本当は優しい悟くんは仁に似ている。

この人たちは本当に家族なんだなって思わされる。

こんな時私は、ほんの少しだけ自分の家について思い出す。

極道という世間一般的から見たら普通じゃなく恐れられる存在なのに実は温かい家族、

世間一般的から見たら普通より少し裕福で幸せそうなのに本当は冷たく冷えきった家。

外から見ているだけだと何も分からない。

蓋を開けてみないと中は見えない。

家族ってなんだろう。

血が繋がっているはずなのにまるで、私をサンドバックのように扱う家。

血は繋がっていない他人の私を娘だと可愛がってくれる人達、

一体何が違うんだろう。

どう違うんだろう。

そう考えてしまう。


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