闇と月
私はそのまま昔の記憶を辿りトイレへと向かった。
トイレの個室に入ると外から下品な笑い声と話し声がしてきた。
今日は月に1回入れる月虹にいるメンバーの幹部以下の彼女か、傘下のレディースであろう。
「あの女まじで調子乗ってるよな。」
「あぁ柚華だっけ?それな〜笑笑」
「最近、仁さん達と学校でよく一緒にいるらしいし、まじ生意気。」
「学校で虐められてるらしいよ?」
「わかるはその気持ち〜笑笑」
「ビッチそうだし、どーせ仁さん達もたぶらかしたんだろ。まじで許せない。」
そんな声が聞こえてきたが私には関係ない。
そう思っていたらあの言葉が聞こえてきた。
その一言で私をどん底へと落とすことのできる言葉だ。
「あんなやつう生まれて来なければよかったのに。」
「確かに、もう生まれてきただけで仁さん達に失礼だよねー笑笑」
「何それ笑うわ〜笑笑」
この言葉だけはダメだ。
私には悲しい、苦しい、辛いという感情はない。
笑い方もとうに忘れたし、涙なんてとっくに枯れた。
でもこれだけは忘れられない。
恐怖。
そう、恐怖だけは忘れられないのだ。
どうしても忘れなれない。