闇と月
家へ帰り部屋の電気を急いでつける。
シャワーを浴びてベッドへ入った。
元々寝付きのいいほうではない。
人前ではあまりよく寝れないし、眠りが浅い。
何より誰かと一緒にいる時に寝てはいけないあの癖が出てしまうから…
しかし、あんなことがあり色々疲れていたせいか今日はいつもより眠りに落ちるのが早かった。
『ごめんなさい、ごめんなさい。生きててごめんなさい。』
「なんでお前が生きてるんだよ。こんな役立たずのお前が。」
「そうよ、あの子が死んだのはあんたのせいよ。こんな子だと知ってたら産まなかったのに。こんな気味の悪い子なんていらないわよ。」
『ごめんなさい…』
嫌だ、殴らないで。
やめて。
ごめんなさい。
全部私が悪いの。
こんな醜い姿で生まれた私が。
『ごめんなさい』
自分の声で目が覚めた。
あぁまた、あの時の夢か…
久々にこんな夢を見た。
体が震え、息も荒くなる。
トイレでの出来事のせいだろう。
汗をかき張り付くTシャツが気持ち悪い。
少し落ち着いてからシャワーを浴びたがもう今日は眠れなかった。
目を瞑ると思い出す。
あの時のことを。
私を庇って亡くなってしまったあの人のことを。
唯一私に愛情を注いでくれたあの人のことを。