闇と月
「おい、いつまでトイレ行ってんだ。」
『トイレ混んでたんだよ…それと…』
遅かった理由を混んでいたということにして仁を過ごそうと思っていたのに。
それと今日は疲れたから帰ると伝えようとしてたのに、仁が顔を向けた瞬間驚いたような顔で言葉を遮られた。
「柚華、何かあったのか?顔真っ青だぞ?」
『だい、じょうぶ…ちょっと、疲れただけだ…から…』
足元がふらつく。
頭が痛い。
仁が焦ったような顔をした気がする。
あ、やばいかもこれは…
あぁ、またやらかしちゃったか…
そういえば最近あまり食べてなかったしな…
倒れる…
そう思った時、誰かに抱きとめられた気がした。
誰…?
あぁこの落ち着く香水の香り…
あの人の香水の香りだ…
私もやっと向こうに行ける?
でもきっと私は地獄だから向こうに行ってもあの人には会えないな。
そんなことを思っていた。
私は、私を抱えている人のシャツを掴みながら、
『蓮にぃ…もうどこにも行かないで。お願い、だから柚華もそっちいくから待ってて。』
そう口にした。
誰かが遠くで私の名前を呼んでいるような気がしたが私の意識はそこで途切れた。
〜柚華sayd 〜end