闇と月


渉は普段あまり感情の変化を見せないやつだ。

俺も人のこと言えねぇけどな。

いつも冷静な渉が一瞬驚いた表情になっていた。

実際、俺も驚いた。

この学校に通ってるやつで俺らを知らないやつがいるなんてな。

俺らもまだまだってことか…

そんな事を考えていると声が聞こえてきた。

『私、帰りたいんですけど。』

女がそう言うと康太が可愛いねとか言い、面白がっていた。

確かにこいつの顔はかなり整っているしスタイルもいい細すぎるぐらいだ。

だが俺が気になるのはあいつの目だ。

まるで絶望の中にいるような、何かを背負っているような目だ。

今にも死にそうなそんな目をしていた。

思わず俺は話しかけていた。

「お前は何を背負っているんだ?」


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