闇と月
披露宴が始まり、柚華に自己紹介をしろと軽く背中を押した。
柚華は1歩前に出た。
前にでて自己紹介を始めるのかと誰もが思った。
俺も最初はそう思った。
しかしあいつは階段を降り始めた…
どこ行くんだ?
もしかして…そう勘づいた。
渉が柚華を止めようと手を伸ばしたが俺はそれをつかみ辞めさせた。
そして柚華は1段1段ゆっくりと降りていき、誰もがそれに目を奪われ釘付けになっていた。
その目線には様々な思いが宿っていたがそれでも全員が柚華を見ていた。
文句を言っていた女達でさえも…
柚華は最後まで降りると下のフロアの前へ立ち自己紹介を始めた。
『遠山柚華です。多分いきなりの紹介で認めたくないって人もいると思うし別に私も認めて欲しいなんで思ってないから。でも月姫になったからには嫌でも関わらなくちゃいけない事もあると思うので、よろしくお願いします。』
そういい、柚華は頭を下げた。