闇と月
「柚華ちゃんを抱えた時、軽すぎて仁君驚いたんじゃない?」
「確かに俺は人形でも抱えてるのかと、今にも折れるんじゃないかと思いました。」
「1つは、それが原因かな。」
軽いのが原因ってことはやっぱりあいつは痩せすぎなのか…
「柚華ちゃんはね、ちょっとある事がきっかけであまりご飯を食べられなくなっちゃったの。そのせいで栄養失調になってる。」
このご時世に栄養失調とかあるのか?
ありえないだろ…
「もう1つは睡眠不足だね。PTSDと言ってもいいかもしれない。心的外傷後ストレス障害だよ。そのある事件の事を夢で見て寝るのが怖いみたい。だから寝れなくて寝不足になる。」
やっぱり寝れないのか…
「その、どうすれば…」
俺はなんて言っていいのな分からなかった。
あんな小さくて細い体で一体どれだけ重いものを…
「栄養失調はなるべく食べさせるようにして栄養が取れれば大丈夫。後は心の問題だからね…」
「はい…俺にできること何かないんですか?」
何か柚華の助けになれないのだろうか…
「仁君、君は柚華ちゃんのこと大好きなんだね。」
好き…か、
あぁこの気持ちはあいつへの想いは、それだったのか…
「はい。」
「なら、あの子の過去を聞いても受け入れてあげて。居場所を作ってそばにいてあげて。きっと仁君になら…」
その先は聞きとることが出来なかった…
裕二さんが悲しそうに、そして優しい顔をした。