闇と月
五章 夢 〜柚華sayd〜
ここ、どこだろう?
皮の3人掛けのソファー。
テーブルに、テレビ。
私だけが写っていない写真。
全てが見覚えのあるものだった。
あぁ、私の生まれた家か…
「なんでお前が死なないで蓮が死ななくちゃいけなかったの!?あんたのせいで蓮が死んだのよ。」
パシン
そう言われ母にビンタされる。
「お前なんか俺の子供じゃない。」
バンッ
父にお腹ををもいっきり蹴られる。
『ごめんなさい、ごめんなさい。』
それでも私は謝ることしかできない…
だって私のせいで蓮にぃが死んじゃったんだから…
父親に髪を掴まれ上に向かされる。
『……』
「その気味の悪い目でこっち見るな。」
「あぁ、そうだ手で殴るのも痛いからな。」
父はそう呟きながら火を付けた煙草を私の肩に、足の裏に、と次々と目立たないところ押し当てた。
ジュワッ
肌が焼ける匂いがする。
でももう私はあまり痛みを感じることができない。
いつからだろう痛みをあまり感じなくなったのは…