闇と月


『じ、ん…』

声が上手く出ない。

どれくらい寝ていたのだろう…

仁の頬を、目元を拭った。

なんだか泣いているような気がしたから。

仁にそんな顔似合わないよ…

ガラッ

病室の扉が開き勇太が入ってきた。

「柚、目が覚めたの!! 俺の事わかる!?」

康太も入って来た。

「柚!! 良かった〜目覚めたんだね!」

「辻嶺さん呼んでくる!!」

と勢いよく出ていった。

私が起き上がろうと手を着くとすかさず仁は背中に手を回し起こしてくれた。

はちみつ色の髪の毛がハラりと前へ落ちてきた。

「え…髪の色なんで!?もしかして、目も…」

私はこの色が醜く嫌いだ。

親からも気味悪がられていた。

だから怖かった。

仁にも、と思うと…

私は思わず両手で顔を多い布団を引き寄せた。

『見ないで…醜くでしょ…』

「綺麗だよ、柚華。」

私は思わず顔をあげた。

仁は今まで見たことのないような優しい顔をしていた。


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