Candy Spoon
ベットの上に毛布と枕を二つ並べると、葵さんは横になった。
広いベットだと思っていたけど、二人で寝そべると思っていたよりも狭く感じる。
「失礼します…」
ベットの上で、葵さんと反対向きに横になる。
緊張して身動きが取れずにいると、隣からスヤスヤと寝息が聞こえた。
こんな状況でも普段通りに眠れる葵さんがうらやましい。
しばらく視線をきょろきょろさせていると、目が重くなり目を閉じた。
意識が心地よい空間に入り、すーっと眠りにつく。
鳥のさえずりが聞こえ目を開ける。
目の前に端正な顔立ちの男の人が眠っていた。
あれ?ここはどこ?と思ったと同時に、昨日の出来事を思い出す。
今思うと全部、嘘みたいな話だ。
昨日のことを思い浮かべていると、葵さんが目を覚ました。
「あ、おはよ」
目の前にいる葵さんは顔色ひとつ変えない。
「おはようございます」
「おはようポタ~」
ポタちゃんも起きたみたいだ。
葵さんと同じベットの上にいるのが何となく恥ずかしくなり、急いでベットから降りる。
ソファに座ってポタちゃんと話をしていると、いい香りがしてきた。
「はい」
葵さんがコーヒーとトーストを用意してくれた。
「ありがとうございます」
本当はコーヒーは苦手だけど、せっかく淹れてくれたから飲んでみる。
味は苦いけどフルーティな香りがした気がした。
普段ひとりで食べることが多いからか、ポタちゃんや葵さんと一緒に朝ごはんを食べるのは新鮮で楽しかった。
「ご飯おいしかったです。昨日今日とお世話になっちゃったので、今日は早めに帰ります」
ポタちゃんはぐずっていたけど、葵さんと連絡先を交換して、またいつでも遊べることを約束すると、了承してくれた。
※※※
「ましろちゃん、どうポタか?」
「別に…余計なことしなくていい」
「僕ちんの分析によると葵くんとましろちゃんの相性はばっちりポタ!」