Candy Spoon
葵さんとお出かけをして以降、頻繁に連絡をとっていた。
メッセージでやり取りすることが多く、ポタちゃんの様子だったり、紅茶情報を交換している。
そんなある日のことだった。
いつも通り葵さんにメッセージを送る。
来週から【マロンショコラティー】が発売する。
葵さんはマロン系の味が好きで、目がない。
『今日からシャノアールでマロンショコラティーが発売しますね。さっそく買いに行くんですか?』
数時間後、葵さんから返信が来た。
『買いに行きたいけど、風邪ひいて外出れない』
風邪をひいている葵さんを放っておくのは心配だ。
いくらポタちゃんが一緒にいるとはいえ、ポタちゃんは何もできそうもない。
『心配なのでお見舞いに行ってもいいですか?」
返事を待たずに、葵さんの家へと向かった。
お見舞いには、シャノアールのマカロンショコラティーを用意した。
朝から何も食べていない可能性もある。
そしたら何か作ってあげよう。
チャイムを鳴らす。
なかなか出ない。
もしかして倒れているんじゃ…と思い焦り始めた頃、ようやく扉が開いた。
「ごめん…くらくらして……起き上がれなかった」
葵さんは汗びっしょりの身体で、息を切らしている。
「ごめんなさい。具合悪いのに来ちゃって…でも心配だったので……とにかくベットに戻りましょう」
葵さんを寝室に戻そうと、抱きかかえるようにして身体を支える。
思っていた以上に筋肉質だった。
こんな状況にも関わらず、私の心臓は高鳴る。
「うん……」
葵さんは力のない返事をする。
やはり葵さんは朝から何も食べていなかったらしい。
何か消化のよさそうなものを作ることにした。
冷蔵庫を開けるも中には、卵以外めぼしい物は入っていない。
近くのスーパーで食品の買い出しをすることにした。