Candy Spoon


ふと、生まれてから一度も入ったことがない、ライブハウスが目に止まった。
馴染みのないその場所を後にしようとしたとき

「ここポタ!!」
ポタちゃんがライブハウスを見つめている。
私はライブハウスの中には入ったことがない。
行ったことがない場所に入るのは怖いけど…

「ここにポタちゃんの飼い主さんがいるってこと?」
恐る恐る聞いてみる。

「そんな気がするポタ!」
ポタちゃんは嬉しそう。


かわいいポタちゃんの頼みだ。
勇気を出して入ってみよう。
それにライブハウスの中には少し興味がある。
とはいっても、まず入り方が分からない。
チケットとか必要なんだろうか…どこで買えるの?
と不安になっていると…

ライブハウスの定員さんらしき人が話かけてきた。


「いつも人気でチケット取れないんですけど、今日は偶然1枚余ってますよ」

どうしようかとポタちゃんを見つめる。

「ポタ〜」
すぐそこに会いたい人がいるのに、会えないもどかしさを感じている顔だ。

私は意を決して、チケットを買い人生初のライブハウスに入ることにした。



地下へと続く階段を降りると、人が座っていた。
その人にお金を渡すとドリンク引き換え券がもらえるみたい。
丁寧なライブハウスの店員のお姉さんが教えてくれた。


ライブ会場の前の扉に辿り着く。
ポタちゃんは私の肩の上に乗り続けていた。


扉の中からは激しい音楽が聞こえている。
ドキドキしながら扉を開けると――
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