Candy Spoon
どうしよう…と迷っていると、
「知らない男の家に行くのは怖いんじゃない?」
と葵さんが落ち着いた声でポタちゃんに諭す。
「葵くんは悪い男じゃないポタ!」
葵さんの言葉も虚しく、ポタちゃんは、ますますただっ子になる。
「嫌ポタ!嫌ポタ!ましろちゃんと今日遊びたいポタ!!」
えーん、えーん、と泣いている。
こんなに泣かれてしまうと、さすがの私も帰りにくい。
「あの…葵さんが嫌じゃなかったら、お家に遊びに行ってもいいですか?」
もしかしたら葵さんに迷惑かもしれないけど、ポタちゃんともう少し一緒にいたい。
「別にいいけど…」
葵さんは私をじっと見る。
面と向かって葵さんの顔を見たのが初めてだったせいなのか、葵さんがかっこいいせいなのか分からないけど、ドキドキしてしまう。
「もう少しポタちゃんと一緒に居たくなっちゃって」
そう私が言うと、ポタちゃんは満面の笑みで、ぴゅーん、と私と葵さんの周りを飛び回った。