Candy Spoon
「葵くんー起きるポタ!ましろちゃんがお家に帰れないから泊めるポタ!」
疲れている葵さんなんて、お構いなしにポタちゃんは葵さんを叩き起こす。
「ん…」
ポタちゃんに無理矢理起こされた葵さんは、状況をよく理解してなさそう。
「ましろちゃん、泊まっていいポタね?」
「待って。そっちのお姉さんはどうなの?」
お姉さんとは、私のことらしい。
「えっと、できれば家に帰りたいんですけど、タクシーで帰るとしても給料日前だからお金が足りなくて…」
葵さんの目は、まだ眠そうだ。
「じゃあ、嫌じゃなかったら泊まれば」
そう葵さんが口にした途端、ポタちゃんは嬉しそうに羽をパタパタさせた。
「急にすいません。ありがとうございます」
冷静に考えて、今日初めて会った人の家に泊まるなんて、おかしいけど…
私が泊まることが決まるとポタちゃんは
「それじゃ、僕ちんは眠るポター。おやすみポター」とクローゼットの中に入ってしまった。
どうやらクローゼットの中が、ポタちゃんの寝室らしい。
急に葵さんと二人きりになってしまい、戸惑う。
どうしようか迷っていると
「シャワー使っていいよ」
急に話しかけられて、ビクッとしてしまった。
その様子を見ていたせいか葵さんは、クスッと笑う。
「そんなに怖がらなくて大丈夫だから。俺本当に何もしないし」
葵さんが変なことしてくるとか、そういうことに怯えているんじゃなくて、私は目の前にいるイケメンに緊張しているのだ。
「怖がってないです!シャワー借りますね」
そう言って、すぐ隣にある浴室に向かった。