成人女性
 「ミレニアムファッションは流行るのに、モボモガは流行らないんですか?」
 これである。
 着物が流行ることは考えにくいが、洋装をしていた当時のイケイケなお兄さんお姉さんの服装なら「レトロ」という括りで流行しないこともないのではないかと思うのだ。
 しかしミレニアム世代の文化が「レトロ」だと言われる昨今において、モボ・モガはもはやレトロを通り越して歴史の1ページになっているかもしれない。
 いずれは、
 「モボ?モガ?何それ?」
 と、首を傾げる人たちが大勢になっているのだろう。
 モダンボーイ、モダンガール。
 東京の街を闊歩したかつての流行の最先端に立つ人々。
 ミレニアムファッションとて同じである。
 どちらも過去の流行の最先端であり、間違いなく日本のどこかに存在していたのだ。

 ミレニアムファッションの再流行に際しては、私の性格上のタチの悪さが露見した。
 肌を露出することをどこか好ましく思わない節がある。
 丈の短いトップスを着て腹を出すと胃が冷えて体調を悪くしそうな気がする。
 襟ぐりの大きい服は首を冷やしそうな気がする。
 ストッキングを履かないで足を露出するのは品がないように見える。
 体が冷えて体調を崩しそうという冷え性なら多くの人が考えるであろう健康上の理由と、単純にけしからんという節度の問題である。
 人様が露出の多い格好をされていても何とも思わないのだが、もし自分が彼女と同じ服装をしていたら、鏡を見て、
 「節操がないわよ、だらしない」
 と、鏡の向こう側の自分に向かって蔑むような目を向けるだろう。
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