★.:* ◌𓐍𓈒 LAST シンデレラ 𓈒𓐍◌ *:.★~挙式前夜に運命の出逢い~
山頂にそびえ立つ市のシンボルであるこの城は、戦国時代には歴史の表舞台に度々登場する難攻不落の城である。
日没を経て幻想的な薄暮時の今、市街地から見上げればライトアップされ白銀に輝く姿が空中に浮かび上がっているであろう。
この山は、国有林、鳥獣保護区として保護され山頂まで手軽なハイキングコースとして幅広い年代の人々が自然を楽しむことが出来、ロープウェーを使えばわずか数分で山頂駅に辿り着ける。
山頂には、城の下方にリス村や展望台、レストランがあり休日になると可愛いリスを求め子供連れの客で賑わっている。
標高333メートルの天守閣からは360度の景色を楽しむことが出来、美しく煌めく夜景スポッ
トとして有名でもあり、夏の夜空を彩る花火大会では、近距離から美しい大輪の花を鑑賞出来る大人気スポットだ。
私にとっては、幼少期から何度も母とハイキングした思い出の場所である。
低賃金で何十年もパートを掛け持ちして私を育ててくれた母は、一年前についに体を壊しアパートから徒歩20分の総合医療センターに入院を余儀なくされた。
優しく気丈な母は、今尚私を第一に考えてくれていて毎晩顔を見せる度に明るい笑顔で迎えてくれる。
そしてお決まりのように『たまには、友達と食事に行ったり飲み会に参加してきて』『いい加減彼氏作って二十代謳歌しなさいよ』等笑って言ってくる。
そんな母にいつも舌を出し一日の平凡な出来事を話して聞かせるのが日課となっている。
私だって出来るならそうしたい。
銀行の同僚とランチしたり休日デートを楽しんだりしたいけどとてもそんな余裕ない。
この後は、コンビニでのバイトだし銀行、病院、バイト先、自宅の4パターン生活のどこに出逢いがあるやら……。
でも事情を知る優しい店長は、いつも内緒で破棄の商品をくれて節約になるし、バイト仲間も家庭菜園の野菜を分けてくれたりでいつも感謝している。
でももう心身共に限界を感じる私は、ある一大決心をした。
何より大切な母を安心して助ける為に明日出会ったことのない人と結婚する。
大きな溜息を吐き天守閣の端で南方に拡がる星屑のような夜景を一人寂しく見下ろしていると、胸に秘めた悲しみが次々に溢れ出してきた。
シンデレラストーリーなんて幻想と誰よりわかっているけれど、もしも一つだけ願いが叶うのなら……どうか私をラストシンデレラにして下さい。
ひっそり泣きながら淡い星に願いを放った。
まだ完全に受け入れられない現実を、大好きなこの場所で静かに受け入れられたら……。
一人静かに涙する私に気付いた右側の若いカップルが、少し離れた所で「失恋?」「痛ーい」と口にした時、長身の男性が痛い女から1メートル程離れて立ち止まり二人の視線を塞いだ。
ホッとした直後、若い二人が逃げるような気配にふと視線を向けると、男性は私に背を向け両腕を組みプチ溜息を漏らした。
……もしかして盾になってくれた?
おぼろげにその背中を見ていると窺う様にゆっくり振り返り、目が合うとすぐ無言で離れて行った。
そして手摺の右端で何もなかったように夜景を見つめる姿につい笑みをこぼすと、チラ見した彼も恥ずかしげに笑った。
……こんなに品良く洗練された雰囲気の男性初めて。
四十代前半くらい?
スラり長身、おでこを全開にして前髪をかき上げながら横に流した色気抜群な短い黒髪ヘアがとても似合う。
高級そうなジャケットに身を包んだ爽やかイケメンで、目尻に皺が寄る柔らかな笑みに最高に癒され見惚れる。
日没を経て幻想的な薄暮時の今、市街地から見上げればライトアップされ白銀に輝く姿が空中に浮かび上がっているであろう。
この山は、国有林、鳥獣保護区として保護され山頂まで手軽なハイキングコースとして幅広い年代の人々が自然を楽しむことが出来、ロープウェーを使えばわずか数分で山頂駅に辿り着ける。
山頂には、城の下方にリス村や展望台、レストランがあり休日になると可愛いリスを求め子供連れの客で賑わっている。
標高333メートルの天守閣からは360度の景色を楽しむことが出来、美しく煌めく夜景スポッ
トとして有名でもあり、夏の夜空を彩る花火大会では、近距離から美しい大輪の花を鑑賞出来る大人気スポットだ。
私にとっては、幼少期から何度も母とハイキングした思い出の場所である。
低賃金で何十年もパートを掛け持ちして私を育ててくれた母は、一年前についに体を壊しアパートから徒歩20分の総合医療センターに入院を余儀なくされた。
優しく気丈な母は、今尚私を第一に考えてくれていて毎晩顔を見せる度に明るい笑顔で迎えてくれる。
そしてお決まりのように『たまには、友達と食事に行ったり飲み会に参加してきて』『いい加減彼氏作って二十代謳歌しなさいよ』等笑って言ってくる。
そんな母にいつも舌を出し一日の平凡な出来事を話して聞かせるのが日課となっている。
私だって出来るならそうしたい。
銀行の同僚とランチしたり休日デートを楽しんだりしたいけどとてもそんな余裕ない。
この後は、コンビニでのバイトだし銀行、病院、バイト先、自宅の4パターン生活のどこに出逢いがあるやら……。
でも事情を知る優しい店長は、いつも内緒で破棄の商品をくれて節約になるし、バイト仲間も家庭菜園の野菜を分けてくれたりでいつも感謝している。
でももう心身共に限界を感じる私は、ある一大決心をした。
何より大切な母を安心して助ける為に明日出会ったことのない人と結婚する。
大きな溜息を吐き天守閣の端で南方に拡がる星屑のような夜景を一人寂しく見下ろしていると、胸に秘めた悲しみが次々に溢れ出してきた。
シンデレラストーリーなんて幻想と誰よりわかっているけれど、もしも一つだけ願いが叶うのなら……どうか私をラストシンデレラにして下さい。
ひっそり泣きながら淡い星に願いを放った。
まだ完全に受け入れられない現実を、大好きなこの場所で静かに受け入れられたら……。
一人静かに涙する私に気付いた右側の若いカップルが、少し離れた所で「失恋?」「痛ーい」と口にした時、長身の男性が痛い女から1メートル程離れて立ち止まり二人の視線を塞いだ。
ホッとした直後、若い二人が逃げるような気配にふと視線を向けると、男性は私に背を向け両腕を組みプチ溜息を漏らした。
……もしかして盾になってくれた?
おぼろげにその背中を見ていると窺う様にゆっくり振り返り、目が合うとすぐ無言で離れて行った。
そして手摺の右端で何もなかったように夜景を見つめる姿につい笑みをこぼすと、チラ見した彼も恥ずかしげに笑った。
……こんなに品良く洗練された雰囲気の男性初めて。
四十代前半くらい?
スラり長身、おでこを全開にして前髪をかき上げながら横に流した色気抜群な短い黒髪ヘアがとても似合う。
高級そうなジャケットに身を包んだ爽やかイケメンで、目尻に皺が寄る柔らかな笑みに最高に癒され見惚れる。
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