婚約者の執愛
風呂を出てタオルだけ巻き、舞凛を抱き上げた律希。
ベッドルームへ向かう。

ベッドに優しく下ろし、組み敷いた。
「舞凛。震え…落ち着いたかな?」
ゆっくり舞凛の頭を撫でる、律希。

「律希…様…」
「ん?」
「もう、あんなこと…やめてください……」

「うん。でもね…
俊太郎が悪いんだよ?」

「え……?」
「俊太郎が、舞凛を怖がらせたから。
俊太郎に見られて、俯いてたでしょ?」
「あ、あれは…怖かったんじゃなくて、恥ずかしくて……」

「━━━━━━は?恥ずかしい?
恥ずかしいって、何?
まさか……惚れたの?俊太郎に」

優しく頭を撫でていた律希の手が止まった。

そしてそのまま……
舞凛の首にかかる。

「僕と別れて、俊太郎のとこに行く気?」
「え……」

「そんなことしたら、舞凛を殺して僕も死ぬから……!」
首にかけた手をゆっくり動かし、撫でながら話す。

「そ、そんなことしません……!
私は、律希様のモノです……!!」
舞凛は、必死に答えた。


「ほんと?」
「はい!」
「フフ…だよね?
舞凛は、僕のモノ。
僕は、舞凛のモノ」
「はい」

「ねぇ、もう…あんな奴(俊太郎)のことなんか忘れて、愛し合おう……!」

二人の口唇が重なった。
深くなって、落ちていく。

舞凛は恐ろしくて、とにかくこれ以上律希の機嫌を損なわせないように律希にしがみついた。

「律希様…好き……」

もはや、舞凛が律希を好きかどうかなんてどうでもいい。
とにかく、律希が喜ぶことをしなくては……

そんな思いで、律希にしがみつき“律希様、好き”を言い続けた。


「僕も、大好き……!
愛してるよ、舞凛。
誰よりも………!」

二人は夕食も食べずに抱き合い、何度も果てたのだった━━━━━━



そして舞凛が失神してぐっすりと眠ってしまったのを確認して、律希はゆっくりベッドから下りた。

「舞凛。
ごめんね、ちょっと出てくるね…!
一人にして悪いけど、邪魔者は排除しないとだから……!」
舞凛の頬に軽くキスをして、律希はマンションを出ていった。

マンション前に、御堂の運転する高級車が止まって待機している。
律希が来たのを確認すると、御堂が運転席から降りて後部座席を開けた。

「御堂、ご苦労様」
「いえ…
俊太郎さん、例の場所で待っていただいてます」

「ん。わかった」

そう言って、車に乗り込んだ律希だった。
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