婚約者の執愛
大学
「律希様、もう行かないと講義に遅れます……
お願いします、離してください…」
舞凛の大学が始まり、律希が大学前まで送りに来たのはいいが………
「行かないで…舞凛」
舞凛を抱き締め、なかなか離さない律希。
「律希様、もう時間が……」
律希からもがくように離れ、見上げた。
「だって、こんな沢山の人達に舞凛を見られたくない。全員の目、潰して回りたいくらい」
舞凛の目元をなぞりながら言う、律希。
「スマホ、首からかけて講義受けますから。
約束通り、講義以外はすぐに連絡返します」
「律希様、もうそろそろ……今日は9時半から会議ですので、もう行かないと遅れます」
御堂が声をかけてくる。
「………わかった」
ゆっくり舞凛から離れた律希。
「約束……ちゃんと、守ってね。
じゃないと、どんどん人が消えていくからね……」
と、耳打ちしたのだった。
「え?それって、どうゆう……」
律希はただ微笑み、車に乗り込んだのだった。
「舞凛様、行きましょう」
山野が声をかける。
「あ、はい」
二人は、講義室に向かった。
講義中、首にさげているスマホが頻繁に震えていた。
舞凛はさすがに気になり、スマホをこそっと見ようとする。
すると、山野に制止された。
「舞凛様。
今、一度でもここで返信すると、これからも講義中に関わらず返事をしなくてはならなくなります」
と、耳打ちされた。
「あ……そう…ですよね……!」
「あの方は、恐ろしい悪魔です。
皆、あの物腰の柔らかさに惑わされているだけです」
「山野さん…」
「私は、できる限り……あの方を怒らせたくない」
山野の言葉が、痛い程舞凛の心に響いていた。
講義終了後、スマホを確認する。
10:11『会いたい』
10:11『声だけでも聞きたい』
10:12『息苦しいよ、舞凛』
10:12『助けて』
10:12『講義終わったら、すぐ連絡ちょうだい』
10:13『それ以外でも、いつでも連絡してね!』
10:13『山野以外と話してないよね?』
10:13『山野以外をできる限り見ないようにしてね』
10:14『あ!違う!山野のことも、できる限り見ないようにして!』
10:14『舞凛の目の中に入っていいのは、僕だけなんだから!』
「電話、した方がいいと思います」
横から山野が言う。
「ですよね…」
舞凛はすぐ電話をかけた。
ワンコール鳴るか鳴らないかで、出た律希。
『舞凛!!?』
「はい。今、大丈夫ですか?」
『うん!大丈夫だよ!』
すると、山野がノートを見せてきた。
“律希様、好きです”
その文字を指差しながら、口をパクパクしている。
お願いします、離してください…」
舞凛の大学が始まり、律希が大学前まで送りに来たのはいいが………
「行かないで…舞凛」
舞凛を抱き締め、なかなか離さない律希。
「律希様、もう時間が……」
律希からもがくように離れ、見上げた。
「だって、こんな沢山の人達に舞凛を見られたくない。全員の目、潰して回りたいくらい」
舞凛の目元をなぞりながら言う、律希。
「スマホ、首からかけて講義受けますから。
約束通り、講義以外はすぐに連絡返します」
「律希様、もうそろそろ……今日は9時半から会議ですので、もう行かないと遅れます」
御堂が声をかけてくる。
「………わかった」
ゆっくり舞凛から離れた律希。
「約束……ちゃんと、守ってね。
じゃないと、どんどん人が消えていくからね……」
と、耳打ちしたのだった。
「え?それって、どうゆう……」
律希はただ微笑み、車に乗り込んだのだった。
「舞凛様、行きましょう」
山野が声をかける。
「あ、はい」
二人は、講義室に向かった。
講義中、首にさげているスマホが頻繁に震えていた。
舞凛はさすがに気になり、スマホをこそっと見ようとする。
すると、山野に制止された。
「舞凛様。
今、一度でもここで返信すると、これからも講義中に関わらず返事をしなくてはならなくなります」
と、耳打ちされた。
「あ……そう…ですよね……!」
「あの方は、恐ろしい悪魔です。
皆、あの物腰の柔らかさに惑わされているだけです」
「山野さん…」
「私は、できる限り……あの方を怒らせたくない」
山野の言葉が、痛い程舞凛の心に響いていた。
講義終了後、スマホを確認する。
10:11『会いたい』
10:11『声だけでも聞きたい』
10:12『息苦しいよ、舞凛』
10:12『助けて』
10:12『講義終わったら、すぐ連絡ちょうだい』
10:13『それ以外でも、いつでも連絡してね!』
10:13『山野以外と話してないよね?』
10:13『山野以外をできる限り見ないようにしてね』
10:14『あ!違う!山野のことも、できる限り見ないようにして!』
10:14『舞凛の目の中に入っていいのは、僕だけなんだから!』
「電話、した方がいいと思います」
横から山野が言う。
「ですよね…」
舞凛はすぐ電話をかけた。
ワンコール鳴るか鳴らないかで、出た律希。
『舞凛!!?』
「はい。今、大丈夫ですか?」
『うん!大丈夫だよ!』
すると、山野がノートを見せてきた。
“律希様、好きです”
その文字を指差しながら、口をパクパクしている。