婚約者の執愛
次の日。
律希と舞凛は、律希の会社前にいた。

「あの、どうして律希様の会社に?」

「舞凛の心を奪ってる稲田は、この会社の社員だよ」

「え……」

「びっくりでしょ?
僕も、びっくりしちゃった!
まさか、僕の会社の社員だったなんて……」
「そうなんだ……知らなかった」

「舞凛」
「はい」
「証明して?
舞凛が、僕のことを好きだってことを………」


会社の地下に、小さな部屋がありそこに向かった律希と舞凛。

中に入ると、稲田がいた。

「舞凛ちゃん?なんで?」
「先輩…
律希様、これはどうゆう……」

「舞凛。僕の前で、稲田を殺して?」

「━━━━━」
「はい。ナイフ!」

この人は、何を言っているのだろう━━━━━

これは、夢?
それとも、なんか騙されてるとか?

舞凛は、無言で律希の手の中のナイフを見つめる。

「舞凛。
僕のことが好きなんだよね?
だったら、出きるよね?
大丈夫。後始末は御堂がするから」

「で、できません!そんなこと………!」

「は?なんで?」

「なんでって、人を殺すなんて……」

「僕のこと、好きでしょ?」

「え?」

「だったら、出きるよ」

「できません!」


「━━━━━━━僕は、出きるよ。
舞凛の為なら、なーんでも出きるよ!」

「え━━━━」
すると律希は、何の躊躇いもなく稲田の腹にナイフを突き立てた。

「うがぁぁぁーーーーーー!!!!!」
「キャァァァーーーーー!!!!
先輩!!!?」

「ほらね!
はい!あとは、舞凛がトドメをさして?」

血のついたナイフを渡してくる。

「律希様、こんな………
とにかく、救急車を!!」
舞凛は慌てて、スマホを取り出す。

「舞凛!!!」
その舞凛を手を、律希が制し名前を呼ぶ。

「律希様!離してください!!
早く、救急車呼ばないと、先輩が!!!」
「はぁぁ!!?
舞凛の好きな人は、僕でしょ!!?
なのに、なんでこの人の心配するの!!?」

「そうゆうことではないです!!
好きとか嫌いとかではなく、人を傷つけるなんて……!
それに、律希様だって!!
律希様だって、傷つきます!」

舞凛は涙で顔がぐちゃぐちゃになりながら、律希に訴える。


「可愛い……舞凛」

「え……」

「僕のこと、心配してくれるの?」

「は?」

この人は、完全にイカれている━━━━━━━

舞凛は、今初めて………
律希の狂気を知った。

“律希様の本当の恐ろしさを知らない”
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