幼なじみ
一章
1. 入学式
「美蘭起きて」
「ん…あと5分…」
幼馴染の一之瀬北斗に起こされたけど、昨日あまり寝付けなくて、すごく眠い。せめてあと5分だけ寝たい。
「今日入学式だぞ。俺の腕痛いから起きろ。」
「んー…わかった…」
いつも北斗に腕枕をしてもらって寝ている。私たちは、家が隣だけど5歳の頃から毎日どっちかの家で一緒に寝ている。
「ほく、おはよう」
「ん、おはよ」
「入学式って何持ってけばいいの?カバンどこ?朝ごはん食べてない!髪型どうしよう!?」
「朝からうるさいな…。とりあえず、実紅さん呼んでるから朝ごはんたべるぞ。」
「はぁーい」
私のママ、二宮実紅に呼ばれたので、朝ごはんを食べに一階へ行く。昨日は私の家にほくが泊まった。特に何もなければ、1週間ごとにお互いの家に泊まっている。今日からは、ほくの家に泊まる。
「実紅さんおはよう。」
「北斗おはよう。よく寝れた?」
「寝れたよ。」
「入学式頑張ってね。ばっちり写真撮るわね~。美蘭も早くご飯食べて準備しなさいよ~。」
「はーい。髪型どうしよう、、」
「北斗にやってもらいなさい。」
「ほく、やって~」
「はいはい、後でね。」
「ホントに美蘭は北斗に頼りっぱなしよね…笑 北斗いつもありがとうね。高校も北斗と3年間クラス一緒だから安心ね。」
私たちは田舎に住んでるから、中学まで1クラスしかなく、ほくとはずっと同じクラスだった。
高校では、同じクラスになるため、英秀高校の国際学科というところに入学した。その科は、1クラスしかなく、3年間クラスが変わらない。
「食べ終わった!ほく、髪!」
「はいはい、こっちきて。どんな髪型にする?」
「どうしようかなー。...んー、ハーフアップにする!」
「了解」
ほくは昔から私の髪の毛をいじるのが好きで、小さい頃は髪をくるくる触ったり、とかしたりだったんだけど、中学生くらいから、ヘアアレンジをしてくれるようになった。ほくって本当なんでもできる…。
「できたよ。」
「やったー!ありがとう!めちゃくちゃ可愛い」
「っおい。崩れるぞ。」
ほくが髪を巻いて、ハーフアップにしてくれてめちゃくちゃ可愛い。嬉しくて、ほくに抱きつくと、崩れるぞって…。確かに。
「みぃ、準備できた?」
「できた!」
『いってきます』
「はーい、2人とも行ってらっしゃい~!あとでパパと北斗のママパパと向かうからね~。」
ほくのママと私のママは幼稚園からの親友。ほくの両親と私の両親は高校の同級生で、今でも仲良し。よく2家族でご飯を食べたり、旅行にいったりしてる。
学校へ着くと…
「みらんー!!高校でも、同じクラスだね!本当かわいいなぁ。」
「ゆい、おはよー!ゆいが同じクラスでよかった!もう、またからかってー!」
「朝から新入生いっぱい見たけど、美蘭が1番かわいい。あと、悔しいけど、1番かっこいいのも北斗だね…」
「悔しいけど…笑」
「おい、聞こえてるぞ。」
結衣は、中学からの同級生で親友。偶然同じ学科を志望していて、晴れて同じクラスに。ほくとも仲がいい。
「みんなおはようー!喜べ、俺も同じクラスだぞ」
「かんたおはよう!」
「別に嬉しくないしー!」
「なんだと、結衣。」
「朝からうるさいな。入学式始まるから体育館いくぞ」
寛太も中学からの友達で、ほくと仲良し。
中学からの友達がいて、高校生活も楽しく過ごせそう。
「美蘭、髪型めっちゃかわいいね」
「でしょ。ほくがやってくれたの。」
「あんたたち、また噂される日が続くね。笑」
結衣は中学から一緒だから私達の関係を理解している。ほくと朝から夜までずっと一緒にいるけど、結衣にとってはもう日常生活らしい。
でも、この関係を知らない人には付き合ってると噂さることがよくある。でも、本当に付き合っていないし、北斗のことは好きだが、恋愛感情としての好きではない。それは北斗も同じで、恋愛感情をもっていない。
入学式退屈だなぁ。
「続いて、新入生代表の言葉。新入生代表、一之瀬北斗」
「はい。」
ほくだ。さっきほくは、なんでもできると言ったけど、勉強もできる。首席で入学して、新入生代表の言葉を言うことになった。すごいなぁ。
「ねえ。新入生代表の人めっちゃかっこよくない?」
「わかるわかる!めっちゃかっこいい。背も高いしスタイルもいい。やばい。」
周りがザワザワしている。ほくは中学でも、そうだったけれど、やっぱりモテる。顔もいいし。クールだけど、優しい。
「はぁー入学式疲れたねー。今日はこれで帰れるー!それより北斗の人気やばかったね!?」
「確かにね。ほくはやっぱりモテるね。」
「美蘭嫉妬しちゃう??笑」
「いや、全く。笑」
「全くか。笑」
慣れない新しい制服を着ての入学式は少し疲れた。でも今日はこれで帰れる。明日から、友達作れるといいな♪
「ほく、帰ろ。」
「おー。」
「結衣、寛太ばいばいー!」
『ばいばーい』
高校生活も楽しく過ごせるといいな。
「ほく、新入生代表の言葉緊張した?」
「してない。あ、みぃ、ちょっと止まって。
…とれた。」
「わぁ、桜の花びらだ!かわいい」
ほくにいきなり頭を触られたから何かと思ったら、頭に桜の花びらが。桜の花びらが所々で舞ってて綺麗。もうすぐ散っちゃうのかな。
『ただいま』
「2人ともおかえりなさいー。入学おめでとう。今日は美蘭のママとパパ呼んで家でご飯食べるよー!」
「はーい!麻美ちゃん、入学式美蘭どこにいるか気づいた?」
「全然わかんなかったわ…。北斗は見えたけど…。」
「新入生代表だからな。」
「もう、北斗は冷たいんだから。笑」
「本当だよねー!」
「ねー!笑」
麻美ちゃんことほくのママは、サバサバしてて、めちゃくちゃ話しやすい。第二のママって感じ。
「北斗パパー!美蘭どこにいるかわかった??」
「…ごめん。ママの横顔見てたら、入学式終わってた…。」
「もう…。笑」
北斗パパは、とにかく優しい。そして、麻美ちゃんのことを溺愛している。
『いらっしゃーい!』
『おじゃましまーす!』
「ママパパー!入学式美蘭見つけた??」
「ばっちり見つけたわよ。学校で1番可愛かったわ♡」
「こんなかわいい子が産まれるなんてやっぱママのおかげだよね♡」
私のパパもママを溺愛している。
「北斗が新入生代表の言葉を言うなんて知らなかったわ。北斗も学校で1番かっこよかったわね。」
「実紅さんありがとう。笑」
「さっ、食べましょ~。」
『いただきまーす。』
「美蘭、明日からはもう授業なの?」
「明日は、まだかな?明後日から!」
「美蘭、明後日はテストだぞ。」
「っえ…?テストあるの?」
「美蘭、北斗に教えてもらいなさい。」
「はーい…。」
テストがあるなんて全く知らなかった…。ほくに教えてもらおう。
「じゃあ、私たちは帰るわね。麻美、隆史、美蘭のことよろしくね!」
「はーい!またねー!」
「みぃ、勉強するぞ」
「…はーい。」
明後日、勉強しなきゃ。私は、数学が全然できない。他の教科はそれなりにできるんだけど…。
「みぃ、ここ解いてみて。」
「わかった。
…なにこれ?こんなの初めてみた…」
「嘘つけ。基本問題だぞ。」
「ほく、眠い…。」
「だめ。今日はここを解けるようにするから。」
数学は苦手すぎて本当に全然わかんない…。数学を勉強してると眠くなる…。
「できた!ほく、できた!!」
「できたじゃん。えらい。」
「みい、天才かもしれない…。」
「それは違う。」
ほくは、教え方が上手。だから、教えてもらったらすぐできるようになった。よーし、今日はこの辺にして、お風呂入ろう。
「ほく、お風呂行こ。」
「行こっか。」
ほくとは、いつも一緒にお風呂に入っている。付き合っていないのに一緒に入るのはおかしいかもしれないけれど、小さい頃から一緒に入っててそれが今も続いてるだけ。あまり、気にしていない。学校の子に知られたら、色々言われるんだろうな…。
「はぁー、あったかい。みいも高校生だぁ。」
「みぃが高校生か…。」
「ほくもそうでしょー。」
ほくの脚の間に挟まってお湯に浸かる。小学校までは、あまり身長差がなかったのに、今では20センチ差。ほく成長しすぎ。
「そろそろでるぞ。」
「うん。」
お風呂からでて、ほくが髪を乾かしている。私はその間、タオルで髪を拭く。ほくが乾かし終わると…
「みぃ、おいで。」
「はぁーい。」
いつもほくが乾かしてくれる。あったかくて寝ちゃいそう。
「終わった。みぃ、体調は?」
「良いよ。」
「分かった。おいで。」
ほくが手を広げる。そこに私が行き、ぎゅっと、抱きしめられる。
「みぃ、頑張れる?」
「うん…。」
そっとほくの胸に耳を当て心臓の音を聴く。そうすると、頭の中にいくつかの映像が流れる。
「うっ。はっっ。っ。はぁ。」
「みぃ、大丈夫だよ。」
呼吸が荒くなり、うまく息ができない。頭がすごく痛くて気持ち悪い。死にそう。
「みぃ、深呼吸して。」
「すぅーー。はぁーーーー。」
10分くらいすると落ち着く。
「みぃ、頑張ったね。ありがとう。」
「うん。」
実は、5歳の頃から私はほくの心臓の音を聴くことで、ほくの次の日のことが映像のように頭に流れる。映像が見えるのはほくの心臓の音を聞く時だけで他の人では見えなかった。
未来を見ると、体調が悪くなり年々酷くなっている気がする…。でも不思議とほくといると体調がだんだんと良くなっていく。ほく以外の人では寝るまでずっと体調が悪い。だから、毎日一緒に寝ている。
ほくを死なせないために毎日映像を見ている。今までに何回もほくが死んでしまう映像をみてきた。映像を見て死を回避してきた。
ほくが死んでしまう映像は必ず流れるが、他にも日常生活の一場面などが流れることもある。なんでほくはこんなにも死に直面してしまうのか全くわからない。
「どうだった?」
「明日は、特になにもなさそう。あ、雨降ってたから、明日折り畳み傘持って行こ。」
「そうか。みぃ、ありがとう。そろそろ寝ようか。おいで。」
「うん。」
入学式と、未来を見たことの疲労が同時にきて、今すぐにでも寝てしまいそう。ほくの腕枕でぎゅっとされながらベッドに寝転ぶ。安心して寝れる。ほく、いつもありがとう。
「おやすみ。」
「おやすみ。」
「ん…あと5分…」
幼馴染の一之瀬北斗に起こされたけど、昨日あまり寝付けなくて、すごく眠い。せめてあと5分だけ寝たい。
「今日入学式だぞ。俺の腕痛いから起きろ。」
「んー…わかった…」
いつも北斗に腕枕をしてもらって寝ている。私たちは、家が隣だけど5歳の頃から毎日どっちかの家で一緒に寝ている。
「ほく、おはよう」
「ん、おはよ」
「入学式って何持ってけばいいの?カバンどこ?朝ごはん食べてない!髪型どうしよう!?」
「朝からうるさいな…。とりあえず、実紅さん呼んでるから朝ごはんたべるぞ。」
「はぁーい」
私のママ、二宮実紅に呼ばれたので、朝ごはんを食べに一階へ行く。昨日は私の家にほくが泊まった。特に何もなければ、1週間ごとにお互いの家に泊まっている。今日からは、ほくの家に泊まる。
「実紅さんおはよう。」
「北斗おはよう。よく寝れた?」
「寝れたよ。」
「入学式頑張ってね。ばっちり写真撮るわね~。美蘭も早くご飯食べて準備しなさいよ~。」
「はーい。髪型どうしよう、、」
「北斗にやってもらいなさい。」
「ほく、やって~」
「はいはい、後でね。」
「ホントに美蘭は北斗に頼りっぱなしよね…笑 北斗いつもありがとうね。高校も北斗と3年間クラス一緒だから安心ね。」
私たちは田舎に住んでるから、中学まで1クラスしかなく、ほくとはずっと同じクラスだった。
高校では、同じクラスになるため、英秀高校の国際学科というところに入学した。その科は、1クラスしかなく、3年間クラスが変わらない。
「食べ終わった!ほく、髪!」
「はいはい、こっちきて。どんな髪型にする?」
「どうしようかなー。...んー、ハーフアップにする!」
「了解」
ほくは昔から私の髪の毛をいじるのが好きで、小さい頃は髪をくるくる触ったり、とかしたりだったんだけど、中学生くらいから、ヘアアレンジをしてくれるようになった。ほくって本当なんでもできる…。
「できたよ。」
「やったー!ありがとう!めちゃくちゃ可愛い」
「っおい。崩れるぞ。」
ほくが髪を巻いて、ハーフアップにしてくれてめちゃくちゃ可愛い。嬉しくて、ほくに抱きつくと、崩れるぞって…。確かに。
「みぃ、準備できた?」
「できた!」
『いってきます』
「はーい、2人とも行ってらっしゃい~!あとでパパと北斗のママパパと向かうからね~。」
ほくのママと私のママは幼稚園からの親友。ほくの両親と私の両親は高校の同級生で、今でも仲良し。よく2家族でご飯を食べたり、旅行にいったりしてる。
学校へ着くと…
「みらんー!!高校でも、同じクラスだね!本当かわいいなぁ。」
「ゆい、おはよー!ゆいが同じクラスでよかった!もう、またからかってー!」
「朝から新入生いっぱい見たけど、美蘭が1番かわいい。あと、悔しいけど、1番かっこいいのも北斗だね…」
「悔しいけど…笑」
「おい、聞こえてるぞ。」
結衣は、中学からの同級生で親友。偶然同じ学科を志望していて、晴れて同じクラスに。ほくとも仲がいい。
「みんなおはようー!喜べ、俺も同じクラスだぞ」
「かんたおはよう!」
「別に嬉しくないしー!」
「なんだと、結衣。」
「朝からうるさいな。入学式始まるから体育館いくぞ」
寛太も中学からの友達で、ほくと仲良し。
中学からの友達がいて、高校生活も楽しく過ごせそう。
「美蘭、髪型めっちゃかわいいね」
「でしょ。ほくがやってくれたの。」
「あんたたち、また噂される日が続くね。笑」
結衣は中学から一緒だから私達の関係を理解している。ほくと朝から夜までずっと一緒にいるけど、結衣にとってはもう日常生活らしい。
でも、この関係を知らない人には付き合ってると噂さることがよくある。でも、本当に付き合っていないし、北斗のことは好きだが、恋愛感情としての好きではない。それは北斗も同じで、恋愛感情をもっていない。
入学式退屈だなぁ。
「続いて、新入生代表の言葉。新入生代表、一之瀬北斗」
「はい。」
ほくだ。さっきほくは、なんでもできると言ったけど、勉強もできる。首席で入学して、新入生代表の言葉を言うことになった。すごいなぁ。
「ねえ。新入生代表の人めっちゃかっこよくない?」
「わかるわかる!めっちゃかっこいい。背も高いしスタイルもいい。やばい。」
周りがザワザワしている。ほくは中学でも、そうだったけれど、やっぱりモテる。顔もいいし。クールだけど、優しい。
「はぁー入学式疲れたねー。今日はこれで帰れるー!それより北斗の人気やばかったね!?」
「確かにね。ほくはやっぱりモテるね。」
「美蘭嫉妬しちゃう??笑」
「いや、全く。笑」
「全くか。笑」
慣れない新しい制服を着ての入学式は少し疲れた。でも今日はこれで帰れる。明日から、友達作れるといいな♪
「ほく、帰ろ。」
「おー。」
「結衣、寛太ばいばいー!」
『ばいばーい』
高校生活も楽しく過ごせるといいな。
「ほく、新入生代表の言葉緊張した?」
「してない。あ、みぃ、ちょっと止まって。
…とれた。」
「わぁ、桜の花びらだ!かわいい」
ほくにいきなり頭を触られたから何かと思ったら、頭に桜の花びらが。桜の花びらが所々で舞ってて綺麗。もうすぐ散っちゃうのかな。
『ただいま』
「2人ともおかえりなさいー。入学おめでとう。今日は美蘭のママとパパ呼んで家でご飯食べるよー!」
「はーい!麻美ちゃん、入学式美蘭どこにいるか気づいた?」
「全然わかんなかったわ…。北斗は見えたけど…。」
「新入生代表だからな。」
「もう、北斗は冷たいんだから。笑」
「本当だよねー!」
「ねー!笑」
麻美ちゃんことほくのママは、サバサバしてて、めちゃくちゃ話しやすい。第二のママって感じ。
「北斗パパー!美蘭どこにいるかわかった??」
「…ごめん。ママの横顔見てたら、入学式終わってた…。」
「もう…。笑」
北斗パパは、とにかく優しい。そして、麻美ちゃんのことを溺愛している。
『いらっしゃーい!』
『おじゃましまーす!』
「ママパパー!入学式美蘭見つけた??」
「ばっちり見つけたわよ。学校で1番可愛かったわ♡」
「こんなかわいい子が産まれるなんてやっぱママのおかげだよね♡」
私のパパもママを溺愛している。
「北斗が新入生代表の言葉を言うなんて知らなかったわ。北斗も学校で1番かっこよかったわね。」
「実紅さんありがとう。笑」
「さっ、食べましょ~。」
『いただきまーす。』
「美蘭、明日からはもう授業なの?」
「明日は、まだかな?明後日から!」
「美蘭、明後日はテストだぞ。」
「っえ…?テストあるの?」
「美蘭、北斗に教えてもらいなさい。」
「はーい…。」
テストがあるなんて全く知らなかった…。ほくに教えてもらおう。
「じゃあ、私たちは帰るわね。麻美、隆史、美蘭のことよろしくね!」
「はーい!またねー!」
「みぃ、勉強するぞ」
「…はーい。」
明後日、勉強しなきゃ。私は、数学が全然できない。他の教科はそれなりにできるんだけど…。
「みぃ、ここ解いてみて。」
「わかった。
…なにこれ?こんなの初めてみた…」
「嘘つけ。基本問題だぞ。」
「ほく、眠い…。」
「だめ。今日はここを解けるようにするから。」
数学は苦手すぎて本当に全然わかんない…。数学を勉強してると眠くなる…。
「できた!ほく、できた!!」
「できたじゃん。えらい。」
「みい、天才かもしれない…。」
「それは違う。」
ほくは、教え方が上手。だから、教えてもらったらすぐできるようになった。よーし、今日はこの辺にして、お風呂入ろう。
「ほく、お風呂行こ。」
「行こっか。」
ほくとは、いつも一緒にお風呂に入っている。付き合っていないのに一緒に入るのはおかしいかもしれないけれど、小さい頃から一緒に入っててそれが今も続いてるだけ。あまり、気にしていない。学校の子に知られたら、色々言われるんだろうな…。
「はぁー、あったかい。みいも高校生だぁ。」
「みぃが高校生か…。」
「ほくもそうでしょー。」
ほくの脚の間に挟まってお湯に浸かる。小学校までは、あまり身長差がなかったのに、今では20センチ差。ほく成長しすぎ。
「そろそろでるぞ。」
「うん。」
お風呂からでて、ほくが髪を乾かしている。私はその間、タオルで髪を拭く。ほくが乾かし終わると…
「みぃ、おいで。」
「はぁーい。」
いつもほくが乾かしてくれる。あったかくて寝ちゃいそう。
「終わった。みぃ、体調は?」
「良いよ。」
「分かった。おいで。」
ほくが手を広げる。そこに私が行き、ぎゅっと、抱きしめられる。
「みぃ、頑張れる?」
「うん…。」
そっとほくの胸に耳を当て心臓の音を聴く。そうすると、頭の中にいくつかの映像が流れる。
「うっ。はっっ。っ。はぁ。」
「みぃ、大丈夫だよ。」
呼吸が荒くなり、うまく息ができない。頭がすごく痛くて気持ち悪い。死にそう。
「みぃ、深呼吸して。」
「すぅーー。はぁーーーー。」
10分くらいすると落ち着く。
「みぃ、頑張ったね。ありがとう。」
「うん。」
実は、5歳の頃から私はほくの心臓の音を聴くことで、ほくの次の日のことが映像のように頭に流れる。映像が見えるのはほくの心臓の音を聞く時だけで他の人では見えなかった。
未来を見ると、体調が悪くなり年々酷くなっている気がする…。でも不思議とほくといると体調がだんだんと良くなっていく。ほく以外の人では寝るまでずっと体調が悪い。だから、毎日一緒に寝ている。
ほくを死なせないために毎日映像を見ている。今までに何回もほくが死んでしまう映像をみてきた。映像を見て死を回避してきた。
ほくが死んでしまう映像は必ず流れるが、他にも日常生活の一場面などが流れることもある。なんでほくはこんなにも死に直面してしまうのか全くわからない。
「どうだった?」
「明日は、特になにもなさそう。あ、雨降ってたから、明日折り畳み傘持って行こ。」
「そうか。みぃ、ありがとう。そろそろ寝ようか。おいで。」
「うん。」
入学式と、未来を見たことの疲労が同時にきて、今すぐにでも寝てしまいそう。ほくの腕枕でぎゅっとされながらベッドに寝転ぶ。安心して寝れる。ほく、いつもありがとう。
「おやすみ。」
「おやすみ。」