幼なじみ
17. 上級生
「みぃ、起きて。」
「おはよう…。」
「うん、おはよう。」
朝になってしまった。ほくが死んでしまう映像を見た日だ。絶対に未来を変えなきゃ。
「いってらっしゃい。2人とも気をつけてね。美蘭、お願いね。」
「うん、いってきます!」
麻美ちゃんにも映像を見たことを言った。なるべく不安にさせないように、いつも通りにした。
「ほく、体育館行っちゃダメだからね。」
「分かった。俺、なんで体育館で死んだの?」
「ちょっと思い出したくない。体育館に入らなければ大丈夫だから。」
「そっか。分かった。みぃ、ありがとう。」
「うん。」
やっぱり、何が原因かは思い出したくなくて言えなかった。でも、体育館に入らなければ大丈夫だよね。
「美蘭、おはよー!」
「おはよう。」
「元気なくない?」
「元気だよ!すっかり筋肉痛から復活した!」
「よかった。今日は屋上で食べよ!」
「うん、そうしよ!」
結衣には昨日の映像のことを言わなかった。心配かけてしまわないように。
「お腹すいたー!屋上行こ!」
「行こ行こ!」
昼休みになり、屋上でご飯を食べに行くことに。
「美蘭、俺購買で飲み物買ってくるから、先に屋上行くか、教室で待ってて。」
「分かった。じゃあ先に結衣と屋上行ってるね。ほく、すぐ屋上きてね。」
なんでこの時ほくと一緒に購買に行かなかったんだろう。
「結衣、屋上行こー!」
「うん!北斗は?」
「ほくは購買行った。後から来るって。」
「そっか、じゃあ先行こ!」
「うん!」
結衣と一緒に屋上へ行くために廊下を歩いていると声をかけられる。
「美蘭ちゃん!」
「京香ちゃん?」
林間学校の時に一緒にレクリエーションをしたキャリア学科の京香ちゃんに声をかけられた。京香ちゃんは、圭太くんと同じ3班だった。
「どうした??」
「ちょっと着いてきてもらっていい??」
「ん?いいよ。」
「美蘭、着いていこうか?」
「大丈夫!ごめん、先屋上行ってて!」
「分かった!」
京香ちゃんに着いてきてほしいと言われ、結衣には先に屋上に行ってもらうことに。
「京香ちゃん、どうかしたの??」
「美蘭ちゃんと話したいって言ってる人がいてちょっと着いてきてもらっていい?」
「そうなの?分かった。」
京香ちゃんに着いて行くと…。
「え、体育館?」
「うん。ここに連れてきてほしいって先輩に言われて。」
「先輩?」
「うん、同じ部活の先輩。あ、先輩!美蘭ちゃんです。」
「あ、ありがとう。もう、帰っていいよ。昼休みにごめんね。」
「いえいえ!美蘭ちゃん、ばいばい!」
体育館に着いた。体育館の前に立っているとこの前ほくと仲良くするなと言ってきた先輩が体育館から出てきた。京香ちゃんはきっと何も知らずに連れてきてくれたんだろう。
「あ、美蘭ちゃん来てくれたんだね。」
「先輩、すみませんが明日でもいいですか?」
「いや、無理。あんた調子乗りすぎ。」
今日は体育館に近づきたくなかったから、明日でもいいかと聞くと断られ、無理やり体育館の中にある倉庫に連れて行かれた。
「ちょっと、やめてください。お願いですから出してください。」
「無理よ。北斗くんと仲良くしないでって言ったよね。」
あぁ。そういうことだったのか。体育もない日の昼休みにほくが体育館にいることが不思議だった。私を探して体育館に来てたんだ。
「本当に離してください。お願いします。すみませんでした。」
「え、泣いてるの?笑 この前はあんなに強気だったのに。笑」
恐怖で涙が止まらない。北斗が死んでしまうんじゃないかという恐怖で。
「ごめんなさい。北斗とはもう話さないです。お願いですから、ここから出してください。」
「そんなの信じられるわけないでしょ?毎日一緒に帰って、家にも行って。付き合ってないくせに。きっと、女として見られてないんでしょうね。笑」
なんで一緒に帰ったり家にいるのも知ってるの…。怖すぎる。
「すみませんでした。先輩の気持ちを考えずに北斗と一緒にいて。」
「本当に調子乗ってるよね。」
バチッ。
先輩に頬を叩かれた。あぁ。もうなんでこんなことになってしまったんだろう。ほくにちゃんとバスケットゴールのことを伝えておくんだった。自分のただの我儘で、ほくを危険な目に合わせようとしている。
…
(北斗side)
「あれ、結衣、美蘭は?」
「あ、なんかキャリア学科の子に呼ばれてどっか行っちゃった。そういえば遅いね。どこ行ったんだろう。」
「誰に呼ばれた?」
「あの、レクリエーションの時一緒だった京香ちゃんって子!」
「誰?」
「もう。覚えてないの??」
「忘れた。ちょっと帰ってくるの遅いから俺探すわ。美蘭を呼んだ子、どんな子?」
「んー、髪が長くて少し身長が低めの子。キャリア学科の教室にいるのかな?一緒に行こうか?」
「うん。お願い。」
購買が混んでてなかなか飲み物が買えなかった。遅くなったのに、屋上に行くと美蘭がいない。念のため探しに行くことにした。
「あ、京香ちゃんいた。京香ちゃーん!」
「結衣ちゃん!どうした??」
キャリア学科の教室に行くと美蘭を呼び出した子がいた。だけど、美蘭はいなかった。
「京香ちゃん、美蘭は?」
「美蘭ちゃんは、体育館にいるよ。先輩が美蘭ちゃんと話したいって言ったから連れて行ったんだ。」
「先輩って誰?」
先輩に呼ばれ体育館にいると聞き、思わず2人の会話に割り込んでしまった。
「えっと、同じ部活の先輩だよ。」
「男?女?」
「女の先輩。」
きっと、前に呼び出された先輩だ。体育館なら美蘭は今日入ろうとしないはず。でも、帰ってきてないってことは無理矢理体育館に連れ込まれたのか?
「結衣、俺ちょっと体育館行ってくるから先に戻ってて。」
「私も着いて行くよ。」
「いや、いい。戻ってて。」
「そう?分かった。」
映像のことがあるけどそんなこと考えていられない。美蘭の身に何かあったら…。
…
「うっ。痛い。もうやめてください。すみませんでした。」
「指図すんな。後輩のくせに生意気すぎ。」
お腹や背中を殴られ、身体中が痛い。先輩2人は話が通じない。もう1人のほくのことが好きという先輩は何もせずに立っているだけ。でも、顔は笑っている。
「服脱がせて写真撮ろ。笑」
「いいねそれ。SNSにアップしちゃお。」
「ここまでしたらさすがに北斗くんにはもう近づかないよね。笑」
え。何言ってるの?正気なの?
そんなこと考えてる暇もなくまず、ジャケットを脱がされる。
「やめてください。お願いします。」
「むーりー。自分がやったこと自覚した?笑」
北斗、お願いだから私を探そうとしないで。
「はいはい。次はブラウスね。」
「やめてください。」
抵抗しようとするともう1人の先輩に押さえつけられる。リボンを取られ、シャツのボタンを三つほど開けられたところで、
「あっ、これ見つかったらやばいから、体育館の鍵もかけといて。」
「わかった。」
私を押さえつけてた先輩が、体育館倉庫からでて、体育館の鍵を開けに行こうとする。体育館倉庫の扉が開くと、ほくが見えた。こっちに全力疾走で向かってきている。
「いったっ!おい!捕まえて!」
その瞬間、思いっきり先輩を蹴り、体育館倉庫から飛び出す。その時、ほくのことが好きな先輩に手を掴まれる。もうどうにでもなれ…。思いっきりその先輩のお腹を蹴った。
「ほくっ!」
「美蘭!!」
「来ないで。」
ほくには、その声は届かなかったみたい。思いっきりこっちに向かってくる。
「ほく!!!」
ドサッ。
バスケットゴールの近くにいるほくを思いっきり押し倒した。
ガシャンッ。ガシャッ。ドンッ。
本当に危機一髪。ほくを助けることができた。
「っうっ。ほくっ。」
「美蘭、大丈夫か!?」
「なんで、体育館きたの!昨日約束したじゃん!!」
「ごめん。美蘭が女の先輩といるって聞いてそんなこと考えられなかった。」
涙が止まらない。本当によかった。よかった。
「痛っ。」
「どうした?」
ほくに思いっきり抱きしめられた。先輩に蹴られたり殴られたりしたところが痛い。
「先輩に…蹴られた。」
「え。どこ。」
「お腹…背中。」
「みぃ保健室行こう。制服は?なんでこんなにはだけてる?先輩?」
「…うん。」
ほくがジャケットを着せてくれた。さっきから涙が止まらない。ほくは先輩たちを思いっきり睨んだ。
「美蘭、行こう。」
「…うん。」
「抱っこしたら痛いよね?歩ける?」
「…うん。」
ほくに支えられながらなんとか保健室にいく。
「美蘭ちゃん!?どうした??」
「先生ちょっとベッド借りてもいいですか?」
「いいけど、美蘭ちゃんは大丈夫なの?」
保健室に行くと、私が思いっきり泣いてるからすごく驚いていた。
プルプル。
「はい、保健室です。え!?バスケットゴール?はい。すぐ行きます!!」
「北斗くん、美蘭ちゃんはもしかして体育館にいた?」
「そうです。」
「怪我はない?」
「一応大丈夫です。」
「私、他に怪我した子いないか見てくるわね。2人で大丈夫?」
「はい、ありがとうございます。」
先生も電話でバスケットゴールのことを知ったみたい。先生が体育館に向かい、ほくと2人っきりになった。
「美蘭、大丈夫?」
「う、うん。」
「ゆっくりでいいから深呼吸して。」
「うん。」
泣き止まない私にほくはすごく心配してるみたい。
「ほく…。」
「ん?どうした?」
「好きなの。」
「なにが?」
「ほくが好きなの。だから、お願い。死なないで。」
「えっ。それは、幼なじみとして?だよね?」
「ううん。男の子としてほくが好きなの。絶対に死なないって約束して。」
「えっ。う、うん。え、。」
勢いでほくに告白してしまった。ほくは相当驚いてるみたい。
ほく、大好きだよ。
「まって、嬉しい。もう感情が迷子なんだけど。みぃ、俺も大好き。」
「うん。ありがとう。」
ほくが優しく優しくハグしてくれる。
「みぃ、とりあえず、応急処置しよっか。」
「うん。」
「どこ蹴られた?」
「お腹と背中。」
「ちょっと脱げる?」
「うん。」
ほくに言われ、シャツを脱ごうとするけど、痛すぎて脱げない。
てこずっていると、ほくが脱がしてくれる。
「美蘭!!大丈夫!?」
その瞬間、結衣と寛太と理沙ちゃんが来てベッドのカーテンを開けた。
「え。」
「え。まって、お、お邪魔しました。」
「ちょっと!まって!!!」
3人はなんか勘違いしてるみたい。呼び止めると戻ってきた。
ほくがもう一度シャツを着せてくれた。
「寛太、見た?」
「いや、み、見てない。」
「嘘だろ。」
「ご、ごめん。」
「後で殺す。」
ほくが寛太に怒ってる。笑
「あのー、なんで美蘭は上半身下着姿だったわけ??」
「しかも、北斗くんが脱がせてたよね…。やっぱり…。」
「どういうこと??」
「お前ら誤解すんな。美蘭が怪我して服が脱げなかったから、俺が脱がしてたの。応急処置しようと思って。」
「いやいや、お前男だろ?そんなことしたら、俺だったら襲う。」
「襲うって。笑 ひどすぎ。笑 怪我してるんだよ、私は。笑」
「美蘭、純粋すぎ。」
「これは大変だな。北斗、頑張れよ。」
「なにがだよ。」
みんなやっぱり誤解してたみたい。誤解が解けてよかった。あと、ほくは優しいから怪我してる人を襲って怪我させたりしないのに。
「とりあえず、お前ら一旦教室戻れ。もうすぐ5限始まるだろ。」
「確かに。美蘭大丈夫だよね?」
「うん、3人ともありがとう。」
「じゃあ、あとでな。北斗襲うなよー!」
「襲わねーよ。」
ほくが結衣に私が見つかって、保健室にいることを連絡してくれたみたい。そうしたら、3人で心配して来てくれた。3人が教室に戻り、再びほくと2人っきりになる。
「みぃ、もう一回脱ごっか。」
「うん。」
ほくに脱がしてもらう。
「もう、あざになってる。痛かったね。」
「う、うん…。」
身体中にいっぱいあざが。すごく痛い。
「みぃ、頑張ったね。1人で俺を助けようとしてくれたんだろ。ありがとう。本当に。」
「うん。」
ほくの言葉にまた涙が止まらなくなる。
「みぃ、とりあえず湿布貼ろっか。」
「うん。」
ほくに湿布を貼ってもらう。
「冷たいよ。」
「うっ。」
「よし、できた。いい子。」
湿布はすごく冷たかったけど、なんとか貼れた。
「みぃ、なんであんなに服がはだけてたの?」
「先輩に脱がされた。写真撮ってSNSにアップしようとしてたみたい。」
「撮られた?」
「撮られてない。」
「よかった。みぃ本当ごめん。こんな怖い思いさせて。」
「大丈夫。助けに来てくれてありがとう。」
「あの人たち本当に許せない。」
ほくがすごく怒ってるのが伝わってきた。
「ほく、もう教室戻っていいよ。2人で休んだらみんなに怪しまれちゃう。」
「みぃはそんなこと気にしなくていいの。ずっと一緒にいるから。怖かっただろ。」
「うん…。ありがとう。」
「今日は早退する?」
「うん…。でもほくまで早退させちゃう。」
「大丈夫だよ。とりあえず、先生が戻ってくるまで寝てな。寝転べる?」
「うん。ほく、ありがとう。」
「うん。ずっと横にいるからなんかあったら言って。」
「うん。」
「おやすみ。」
「おやすみ。」
「おはよう…。」
「うん、おはよう。」
朝になってしまった。ほくが死んでしまう映像を見た日だ。絶対に未来を変えなきゃ。
「いってらっしゃい。2人とも気をつけてね。美蘭、お願いね。」
「うん、いってきます!」
麻美ちゃんにも映像を見たことを言った。なるべく不安にさせないように、いつも通りにした。
「ほく、体育館行っちゃダメだからね。」
「分かった。俺、なんで体育館で死んだの?」
「ちょっと思い出したくない。体育館に入らなければ大丈夫だから。」
「そっか。分かった。みぃ、ありがとう。」
「うん。」
やっぱり、何が原因かは思い出したくなくて言えなかった。でも、体育館に入らなければ大丈夫だよね。
「美蘭、おはよー!」
「おはよう。」
「元気なくない?」
「元気だよ!すっかり筋肉痛から復活した!」
「よかった。今日は屋上で食べよ!」
「うん、そうしよ!」
結衣には昨日の映像のことを言わなかった。心配かけてしまわないように。
「お腹すいたー!屋上行こ!」
「行こ行こ!」
昼休みになり、屋上でご飯を食べに行くことに。
「美蘭、俺購買で飲み物買ってくるから、先に屋上行くか、教室で待ってて。」
「分かった。じゃあ先に結衣と屋上行ってるね。ほく、すぐ屋上きてね。」
なんでこの時ほくと一緒に購買に行かなかったんだろう。
「結衣、屋上行こー!」
「うん!北斗は?」
「ほくは購買行った。後から来るって。」
「そっか、じゃあ先行こ!」
「うん!」
結衣と一緒に屋上へ行くために廊下を歩いていると声をかけられる。
「美蘭ちゃん!」
「京香ちゃん?」
林間学校の時に一緒にレクリエーションをしたキャリア学科の京香ちゃんに声をかけられた。京香ちゃんは、圭太くんと同じ3班だった。
「どうした??」
「ちょっと着いてきてもらっていい??」
「ん?いいよ。」
「美蘭、着いていこうか?」
「大丈夫!ごめん、先屋上行ってて!」
「分かった!」
京香ちゃんに着いてきてほしいと言われ、結衣には先に屋上に行ってもらうことに。
「京香ちゃん、どうかしたの??」
「美蘭ちゃんと話したいって言ってる人がいてちょっと着いてきてもらっていい?」
「そうなの?分かった。」
京香ちゃんに着いて行くと…。
「え、体育館?」
「うん。ここに連れてきてほしいって先輩に言われて。」
「先輩?」
「うん、同じ部活の先輩。あ、先輩!美蘭ちゃんです。」
「あ、ありがとう。もう、帰っていいよ。昼休みにごめんね。」
「いえいえ!美蘭ちゃん、ばいばい!」
体育館に着いた。体育館の前に立っているとこの前ほくと仲良くするなと言ってきた先輩が体育館から出てきた。京香ちゃんはきっと何も知らずに連れてきてくれたんだろう。
「あ、美蘭ちゃん来てくれたんだね。」
「先輩、すみませんが明日でもいいですか?」
「いや、無理。あんた調子乗りすぎ。」
今日は体育館に近づきたくなかったから、明日でもいいかと聞くと断られ、無理やり体育館の中にある倉庫に連れて行かれた。
「ちょっと、やめてください。お願いですから出してください。」
「無理よ。北斗くんと仲良くしないでって言ったよね。」
あぁ。そういうことだったのか。体育もない日の昼休みにほくが体育館にいることが不思議だった。私を探して体育館に来てたんだ。
「本当に離してください。お願いします。すみませんでした。」
「え、泣いてるの?笑 この前はあんなに強気だったのに。笑」
恐怖で涙が止まらない。北斗が死んでしまうんじゃないかという恐怖で。
「ごめんなさい。北斗とはもう話さないです。お願いですから、ここから出してください。」
「そんなの信じられるわけないでしょ?毎日一緒に帰って、家にも行って。付き合ってないくせに。きっと、女として見られてないんでしょうね。笑」
なんで一緒に帰ったり家にいるのも知ってるの…。怖すぎる。
「すみませんでした。先輩の気持ちを考えずに北斗と一緒にいて。」
「本当に調子乗ってるよね。」
バチッ。
先輩に頬を叩かれた。あぁ。もうなんでこんなことになってしまったんだろう。ほくにちゃんとバスケットゴールのことを伝えておくんだった。自分のただの我儘で、ほくを危険な目に合わせようとしている。
…
(北斗side)
「あれ、結衣、美蘭は?」
「あ、なんかキャリア学科の子に呼ばれてどっか行っちゃった。そういえば遅いね。どこ行ったんだろう。」
「誰に呼ばれた?」
「あの、レクリエーションの時一緒だった京香ちゃんって子!」
「誰?」
「もう。覚えてないの??」
「忘れた。ちょっと帰ってくるの遅いから俺探すわ。美蘭を呼んだ子、どんな子?」
「んー、髪が長くて少し身長が低めの子。キャリア学科の教室にいるのかな?一緒に行こうか?」
「うん。お願い。」
購買が混んでてなかなか飲み物が買えなかった。遅くなったのに、屋上に行くと美蘭がいない。念のため探しに行くことにした。
「あ、京香ちゃんいた。京香ちゃーん!」
「結衣ちゃん!どうした??」
キャリア学科の教室に行くと美蘭を呼び出した子がいた。だけど、美蘭はいなかった。
「京香ちゃん、美蘭は?」
「美蘭ちゃんは、体育館にいるよ。先輩が美蘭ちゃんと話したいって言ったから連れて行ったんだ。」
「先輩って誰?」
先輩に呼ばれ体育館にいると聞き、思わず2人の会話に割り込んでしまった。
「えっと、同じ部活の先輩だよ。」
「男?女?」
「女の先輩。」
きっと、前に呼び出された先輩だ。体育館なら美蘭は今日入ろうとしないはず。でも、帰ってきてないってことは無理矢理体育館に連れ込まれたのか?
「結衣、俺ちょっと体育館行ってくるから先に戻ってて。」
「私も着いて行くよ。」
「いや、いい。戻ってて。」
「そう?分かった。」
映像のことがあるけどそんなこと考えていられない。美蘭の身に何かあったら…。
…
「うっ。痛い。もうやめてください。すみませんでした。」
「指図すんな。後輩のくせに生意気すぎ。」
お腹や背中を殴られ、身体中が痛い。先輩2人は話が通じない。もう1人のほくのことが好きという先輩は何もせずに立っているだけ。でも、顔は笑っている。
「服脱がせて写真撮ろ。笑」
「いいねそれ。SNSにアップしちゃお。」
「ここまでしたらさすがに北斗くんにはもう近づかないよね。笑」
え。何言ってるの?正気なの?
そんなこと考えてる暇もなくまず、ジャケットを脱がされる。
「やめてください。お願いします。」
「むーりー。自分がやったこと自覚した?笑」
北斗、お願いだから私を探そうとしないで。
「はいはい。次はブラウスね。」
「やめてください。」
抵抗しようとするともう1人の先輩に押さえつけられる。リボンを取られ、シャツのボタンを三つほど開けられたところで、
「あっ、これ見つかったらやばいから、体育館の鍵もかけといて。」
「わかった。」
私を押さえつけてた先輩が、体育館倉庫からでて、体育館の鍵を開けに行こうとする。体育館倉庫の扉が開くと、ほくが見えた。こっちに全力疾走で向かってきている。
「いったっ!おい!捕まえて!」
その瞬間、思いっきり先輩を蹴り、体育館倉庫から飛び出す。その時、ほくのことが好きな先輩に手を掴まれる。もうどうにでもなれ…。思いっきりその先輩のお腹を蹴った。
「ほくっ!」
「美蘭!!」
「来ないで。」
ほくには、その声は届かなかったみたい。思いっきりこっちに向かってくる。
「ほく!!!」
ドサッ。
バスケットゴールの近くにいるほくを思いっきり押し倒した。
ガシャンッ。ガシャッ。ドンッ。
本当に危機一髪。ほくを助けることができた。
「っうっ。ほくっ。」
「美蘭、大丈夫か!?」
「なんで、体育館きたの!昨日約束したじゃん!!」
「ごめん。美蘭が女の先輩といるって聞いてそんなこと考えられなかった。」
涙が止まらない。本当によかった。よかった。
「痛っ。」
「どうした?」
ほくに思いっきり抱きしめられた。先輩に蹴られたり殴られたりしたところが痛い。
「先輩に…蹴られた。」
「え。どこ。」
「お腹…背中。」
「みぃ保健室行こう。制服は?なんでこんなにはだけてる?先輩?」
「…うん。」
ほくがジャケットを着せてくれた。さっきから涙が止まらない。ほくは先輩たちを思いっきり睨んだ。
「美蘭、行こう。」
「…うん。」
「抱っこしたら痛いよね?歩ける?」
「…うん。」
ほくに支えられながらなんとか保健室にいく。
「美蘭ちゃん!?どうした??」
「先生ちょっとベッド借りてもいいですか?」
「いいけど、美蘭ちゃんは大丈夫なの?」
保健室に行くと、私が思いっきり泣いてるからすごく驚いていた。
プルプル。
「はい、保健室です。え!?バスケットゴール?はい。すぐ行きます!!」
「北斗くん、美蘭ちゃんはもしかして体育館にいた?」
「そうです。」
「怪我はない?」
「一応大丈夫です。」
「私、他に怪我した子いないか見てくるわね。2人で大丈夫?」
「はい、ありがとうございます。」
先生も電話でバスケットゴールのことを知ったみたい。先生が体育館に向かい、ほくと2人っきりになった。
「美蘭、大丈夫?」
「う、うん。」
「ゆっくりでいいから深呼吸して。」
「うん。」
泣き止まない私にほくはすごく心配してるみたい。
「ほく…。」
「ん?どうした?」
「好きなの。」
「なにが?」
「ほくが好きなの。だから、お願い。死なないで。」
「えっ。それは、幼なじみとして?だよね?」
「ううん。男の子としてほくが好きなの。絶対に死なないって約束して。」
「えっ。う、うん。え、。」
勢いでほくに告白してしまった。ほくは相当驚いてるみたい。
ほく、大好きだよ。
「まって、嬉しい。もう感情が迷子なんだけど。みぃ、俺も大好き。」
「うん。ありがとう。」
ほくが優しく優しくハグしてくれる。
「みぃ、とりあえず、応急処置しよっか。」
「うん。」
「どこ蹴られた?」
「お腹と背中。」
「ちょっと脱げる?」
「うん。」
ほくに言われ、シャツを脱ごうとするけど、痛すぎて脱げない。
てこずっていると、ほくが脱がしてくれる。
「美蘭!!大丈夫!?」
その瞬間、結衣と寛太と理沙ちゃんが来てベッドのカーテンを開けた。
「え。」
「え。まって、お、お邪魔しました。」
「ちょっと!まって!!!」
3人はなんか勘違いしてるみたい。呼び止めると戻ってきた。
ほくがもう一度シャツを着せてくれた。
「寛太、見た?」
「いや、み、見てない。」
「嘘だろ。」
「ご、ごめん。」
「後で殺す。」
ほくが寛太に怒ってる。笑
「あのー、なんで美蘭は上半身下着姿だったわけ??」
「しかも、北斗くんが脱がせてたよね…。やっぱり…。」
「どういうこと??」
「お前ら誤解すんな。美蘭が怪我して服が脱げなかったから、俺が脱がしてたの。応急処置しようと思って。」
「いやいや、お前男だろ?そんなことしたら、俺だったら襲う。」
「襲うって。笑 ひどすぎ。笑 怪我してるんだよ、私は。笑」
「美蘭、純粋すぎ。」
「これは大変だな。北斗、頑張れよ。」
「なにがだよ。」
みんなやっぱり誤解してたみたい。誤解が解けてよかった。あと、ほくは優しいから怪我してる人を襲って怪我させたりしないのに。
「とりあえず、お前ら一旦教室戻れ。もうすぐ5限始まるだろ。」
「確かに。美蘭大丈夫だよね?」
「うん、3人ともありがとう。」
「じゃあ、あとでな。北斗襲うなよー!」
「襲わねーよ。」
ほくが結衣に私が見つかって、保健室にいることを連絡してくれたみたい。そうしたら、3人で心配して来てくれた。3人が教室に戻り、再びほくと2人っきりになる。
「みぃ、もう一回脱ごっか。」
「うん。」
ほくに脱がしてもらう。
「もう、あざになってる。痛かったね。」
「う、うん…。」
身体中にいっぱいあざが。すごく痛い。
「みぃ、頑張ったね。1人で俺を助けようとしてくれたんだろ。ありがとう。本当に。」
「うん。」
ほくの言葉にまた涙が止まらなくなる。
「みぃ、とりあえず湿布貼ろっか。」
「うん。」
ほくに湿布を貼ってもらう。
「冷たいよ。」
「うっ。」
「よし、できた。いい子。」
湿布はすごく冷たかったけど、なんとか貼れた。
「みぃ、なんであんなに服がはだけてたの?」
「先輩に脱がされた。写真撮ってSNSにアップしようとしてたみたい。」
「撮られた?」
「撮られてない。」
「よかった。みぃ本当ごめん。こんな怖い思いさせて。」
「大丈夫。助けに来てくれてありがとう。」
「あの人たち本当に許せない。」
ほくがすごく怒ってるのが伝わってきた。
「ほく、もう教室戻っていいよ。2人で休んだらみんなに怪しまれちゃう。」
「みぃはそんなこと気にしなくていいの。ずっと一緒にいるから。怖かっただろ。」
「うん…。ありがとう。」
「今日は早退する?」
「うん…。でもほくまで早退させちゃう。」
「大丈夫だよ。とりあえず、先生が戻ってくるまで寝てな。寝転べる?」
「うん。ほく、ありがとう。」
「うん。ずっと横にいるからなんかあったら言って。」
「うん。」
「おやすみ。」
「おやすみ。」