キミの魔法にかけられた~隣のデスクの無愛想な後輩が急接近してきて!?~



「甲斐くんは、いーなぁ」

「何がですか?」

私が大きな溜め息を吐けば、甲斐くんは表情を変える事なく首を傾げた。


「私なんてさ、いっつもつまんないミスばっかりしてさ」

「……」

「甲斐くんは去年入ったばっかりで、年下なのにしっかりしてるしさ」

「え?」

「それに、こんな素敵な事も出来るんだもんー!!」

半分以上は愚痴だけど、雲1つ無い青空に叫ぶ様に吐き出せば、甲斐くんの目が一瞬だけ見開かれたのが分かった。

そして、彼は小さく息を吐いて私に視線を落とす。


「そんな事、言われたのはじめてなんですけど」

「え、嘘でしょ?」


「しっかりしてないですし」

「そんな事ないよ!いつも落ち着いてるなーって思ってたもん!」

「……先輩がそう思ってくれてたとか、はじめて知ったんですけど」

なんて、口にする甲斐くんの頬がほんのり赤く染まってるから、照れてるのかな?

なんだか、本当に今日の甲斐くんはいつもと違くて新鮮だな。


< 13 / 29 >

この作品をシェア

pagetop