キミの魔法にかけられた~隣のデスクの無愛想な後輩が急接近してきて!?~
「甲斐くんは、いーなぁ」
「何がですか?」
私が大きな溜め息を吐けば、甲斐くんは表情を変える事なく首を傾げた。
「私なんてさ、いっつもつまんないミスばっかりしてさ」
「……」
「甲斐くんは去年入ったばっかりで、年下なのにしっかりしてるしさ」
「え?」
「それに、こんな素敵な事も出来るんだもんー!!」
半分以上は愚痴だけど、雲1つ無い青空に叫ぶ様に吐き出せば、甲斐くんの目が一瞬だけ見開かれたのが分かった。
そして、彼は小さく息を吐いて私に視線を落とす。
「そんな事、言われたのはじめてなんですけど」
「え、嘘でしょ?」
「しっかりしてないですし」
「そんな事ないよ!いつも落ち着いてるなーって思ってたもん!」
「……先輩がそう思ってくれてたとか、はじめて知ったんですけど」
なんて、口にする甲斐くんの頬がほんのり赤く染まってるから、照れてるのかな?
なんだか、本当に今日の甲斐くんはいつもと違くて新鮮だな。