キミの魔法にかけられた~隣のデスクの無愛想な後輩が急接近してきて!?~
ムッと甲斐くんに目を向ければ、部長がわざとらしい咳払いをするから、慌てて視線を部長へと戻す。
「あー、七瀬くん。明日でいいと思っていたが……」
そう言って、部長が遠慮がちにデスクの引き出しから紙の束を取り出した。
「あ、はい」
「こっちの企画書を確認して貰って、修正、改善点をあげて貰っていいかな?」
「……え?」
「いや、次はこっちの企画書を確認して貰って……」
「さ、さっきの資料は大丈夫なんですか?」
「信じられないが、完璧だった」
「え、あ……。はい、分かりました」
確かに自分でもよく出来たとは思った。
いつも、やり直し!って怒鳴られてばかりだったから。まさか1発目でスムーズに部長のサインを貰える事になるなんて、信じられない。
もしかしたら、入社してからはじめての事かもしれない。