キミの魔法にかけられた~隣のデスクの無愛想な後輩が急接近してきて!?~
「いやー、七瀬くん!凄いじゃないか!」
私の両手を握りしめてブンブンと上下に振る部長の目には、うっすらと涙が浮かんでいた。
デスクの上には、さっき渡された企画書に必要な項目をリストアップしたプリント用紙。
「まさか君に誤字を訂正されるとは思ってもみなかったがね」
関心するように大きく頷く部長は、どこか満足気にみえる。
「やれば出来ると思っていたよ!今日は本当にお疲れさま!」
物凄く嬉しそうな部長の顔を見ていると、なんだか複雑な気分になった。
定時になってパラパラと職員が席を立ち始める。
部長に至っては、いつもでは考えられない程 上機嫌で帰っていった。
そんな部長の背中を見送っていれば、後ろから誰かに肩をポンと叩かれる。
「良かったですね。部長にも褒められて」
なんて台詞を淡々と口にするのは甲斐くんだった。