キミの魔法にかけられた~隣のデスクの無愛想な後輩が急接近してきて!?~
唇の温度が、柔らかさが伝わってくる。ただそれだけのキスなのに、胸がギュッと締め付けられる。
繋がれた指先が震えて、少しだけ頬を赤らめる甲斐くんが照れているのが分かった。
「さっきの続き、していいですか?」
「……」
「駄目ですか?」
「……だ、駄目じゃないけど」
「けど?」
「……や、優しくしてね」
「……!?」
「甲斐くん、顔赤過ぎ!!」
笑い声を上げれば、甲斐くんが不貞腐れる様に少し唇を尖らせる。
「先輩ッ、からかわないで下さい」
彼のこんな表情を見るのは はじめてで、可笑しくて自然と口元が緩んでしまう。
握られた手から伝わってくる温かさに、胸の高鳴りが止まらなくなる。