キミの魔法にかけられた~隣のデスクの無愛想な後輩が急接近してきて!?~
「だって!気になって、全然集中出来ないし!」
「先輩のそういうところが」
「……え?」
「駄目なんですよね」
甲斐くんが呆れた様に小さな息を吐いてから、真っ直ぐ私にと視線をうつす。
"彼の目はこんな色してたっけ?"と、一瞬 どこまでも真っ黒な瞳に吸い込まれそうになって、はッと我にかえった。
「だ、だって!甲斐くんがなんか、まほ……」
"魔法みたいの"そう続けようとした言葉を遮ったのは──、
「七瀬くんは、時間に余裕があるみたいだねー!」
私と甲斐くんの、すぐ後ろに仁王立ちしていたうちの課の部長の声だった。