タイムリミット
あれから1ヶ月くらいたった。
いつものように家で天使をよんだ。
天使と少し話してから天使が
「タイムリミット、あと11ヶ月だけどどう?」と質問してきた。
「前より匠くんと話せるようになった。でも告るのは」
「まぁあと11ヶ月あるからどんどん距離縮めて行ってね」
「うん!わかった」
「じゃあまた呼んでねー」
そう言って天使はいなくなった。
学校で匠くんに会うのを楽しみにしていたのに匠くんはいなかった。先生によると休みだそう。
明日匠くんが学校に来てノート見せてって頼まれるかも、と妄想してしまった。でもほんとに頼まれるかもしれない。
だから今日はきれいな字でノートを書くことにした。
私に頼むはずないけどもし頼まれたらって妄想するのが楽しかった。

家に帰ってから『可愛くなる方法』
とインターネットで調べた。
パックとか化粧とかがいいって出てきたけど
一応パックも化粧もしてる。まぁその中で自分に合う合わないがあるんだろう。
ほかのを見ても髪型や眉毛の事ばかりだった。
そんな中ひとつの言葉が私の目に止まった。
『ダイエット』
この言葉を見つけた時わかった。
私は1度もダイエットをしてこなかった。
小さい頃運動系の習い事をやっていたし、ダイエットなんて知らなかった。
今も体重は平均くらいだ。
「ダイエットしようかな」
つい独り言が出た。
「ふーん。愛しの匠くんのためですか?」
突然頭上から声がした。あわてて上をむくと天使がにやにやしていた。
「うわっ!びっくりしたー」
「ダイエット頑張ってねー」
「ずっと見てたの?」
「うん!」
天使があまりにも元気に言うのでつい笑ってしまった。
そういえば天使に聞きたいことがあるのを思い出した。
「あっ、聞きたいことあるんだけどさ」
「どーした?」
「死んだ後ってどこ行くの?」
「うーん。死に方によるけど心乃ちゃんの場合は病気だし天国かな」
「ほんとに天国とかあるんだ」
「え?天使の国行ったのに信じてないの?」
「別に信じてない訳じゃなくて、ね?」
天使も私も笑っていた。言葉に詰まってしまった。
「まぁダイエット?頑張って」
「うん頑張るから次会った時は痩せてるよ?」
「はいはい頑張って」
あまりにテキトーな返事に笑いが込み上げてきた。

1週間後、何とか1キロ痩せることができた。
周りの友達からも「痩せた?」
と聞かれることが多くなった。嬉しかった。
匠くんに話しかけられるかもしれない、と妄想した。
「天使ー!」
「はーいどーした?」
「なんか気づくことない??」
「あー?痩せた?」
「正解正解!!」
「すごいじゃん」
天使が感心したように言った。
「てかさ心乃ちゃん、病院」
「あー!そうだそうだ!行ってきます」
「行ってらっしゃい」

「ただいまー」
「おかえり、どうだった?」
天使は笑顔で迎えてくれた。
「特になんも、」
「そっかよかったよかった」
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