タイムリミット
私は今入院している。
2ヶ月前にした天使との作戦会議で出た案を先月まで試して見たけれど逆効果でどんどん病気が悪化していくだけだった。
「心乃ちゃん、タイムリミットあと1ヶ月だけど入院しちゃったらね」
天使が困った顔でそう言った。
もし漫画やアニメだったら隣の病室に匠くんが来て同じ病気で一緒に死んで天国で2人で暮らしているだろう。
でもそんなこと現実ではありえない。
隣の病室にはヨボヨボなおじいちゃんしかいない。
しばらく天使と話をしてから病院の先生に呼ばれた。
「心乃ちゃん、単刀直入に言うと余命があと1ヶ月です」
つい知っています、と言いそうになるのを我慢した。
そこから医者が励ますような言葉をかけてきたけどもう何も考えられなかった。
匠くんとつきあえなかった。
天使と初めて話した時、『匠くんは高嶺の花』と言った。
実はその時少しだけチャンスがあるかも、と馬鹿なことを考えていた。
病室に戻ってまた天使と喋った。
天使はいつものように優しい声で話してくれた。
「今日はもう寝る?」
「うん。おやすみ。」
「おやすみ」
「あ、隣に居てほしい。幽霊出そうだから」
「うん。僕は隣にいるよ」
あの時を思い出す。
親が死んでから初めての入院で怖かったとき、天使が隣にいてくれた。
ベットに横になった時天使が
『匠くんと付き合えなかったけど落ち込んでばっかじゃなくて死んでから悔いがないように今できることをしよ』
と教えてくれた。
天使の言っていることは正しい。
匠くんと付き合えなかったからってこんなに落ち込んでいたら死んだ後絶対後悔する。
「うん。そうだね、ありがと!」
そう言ってから今できることを考えた。
考えてるうちにだんだん眠くなってきて眠りについてしまった。
朝起きていつものように天使と喋ってご飯を食べてから今できることを考えるようになった。
もう死ぬと決まっているから検査はないけど珍しい病気だからと言って入院させられているため暇で仕方ない。
天使と一緒に考えてぬいぐるみを買ったり甘いものを食べたりして幸せに過ごした。
タイムリミットはあと1週間しかない。
正直に言うと死ぬのが怖かった。
夜は天使に背中をさすってもらって寝れるか寝れないか。
日が経てば経つほど怖さが増していく。
今も天使に背中をさすってもらってる。
「大丈夫大丈夫、大丈夫だから」
天使が何度も何度も大丈夫と声をかけてくれた。
天使の優しい声で少し心が落ち着く。
「怖、い・・・」
つい声がもれてしまった。
もし今日眠れて明日起きれたとしても毎日こんなに怖い思いをするのかと思うと苦しい。
「絶対大丈夫。ほら深呼吸して」
天使に何度も声をかけてもらってやっと落ち着き、眠りにつく。
今日も寝る時間が来てしまった。
すごくすごく眠いはずなのに寝れない。
昨日と同じように天使と一緒に時間をかけて眠ることができた。
「おはよー」
「おはよ、いつも寝る時ほんとにありがとう」
「いいよいいよ!僕は天使だもん」
よく分からない説明につい笑ってしまう。
「天使の国、行きたいな」
そう独り言を言ったが外出は許されていない。
「いいんじゃない?」
天使の意外な返事に驚いた。
そんな私のことを気にすることも無く
「だって外に出るなってことでしょ?心乃ちゃんが天使の国に行ってる時は周りから見たら寝てることになってるから」
心の中で喜びの声がもれる。
「じゃあ、行きたい!」
「うん、じゃあ行こ!」
そして懐かしい感覚が蘇る。
天使の国に着いた時の安心感。
色、匂い、音、雰囲気
天使の国の全部が安心する。
その時ふと思った。
死んだらここには来れないのか、死んだら天使には会えないのか、気になって天使に聞くと「ここには来れないね、僕に会うことも多分ないと思う」
もう天使に会えないのかと思うとすごく悲しい。
悲しさでいっぱいになって動けないでいると
「帰るよー」
と天使が私の腕を掴んだ。
気づくと病室にいて天使の国にはいなかった。
その後もいつもどうりに天使と話したけど
どこかモヤモヤが残っている。
『僕と会うことは多分ない』という天使の言葉だ。
会えなくなると考えて悲しくなっていたけどもしかしたら会えるかもしれない、と少し期待している。
2ヶ月前にした天使との作戦会議で出た案を先月まで試して見たけれど逆効果でどんどん病気が悪化していくだけだった。
「心乃ちゃん、タイムリミットあと1ヶ月だけど入院しちゃったらね」
天使が困った顔でそう言った。
もし漫画やアニメだったら隣の病室に匠くんが来て同じ病気で一緒に死んで天国で2人で暮らしているだろう。
でもそんなこと現実ではありえない。
隣の病室にはヨボヨボなおじいちゃんしかいない。
しばらく天使と話をしてから病院の先生に呼ばれた。
「心乃ちゃん、単刀直入に言うと余命があと1ヶ月です」
つい知っています、と言いそうになるのを我慢した。
そこから医者が励ますような言葉をかけてきたけどもう何も考えられなかった。
匠くんとつきあえなかった。
天使と初めて話した時、『匠くんは高嶺の花』と言った。
実はその時少しだけチャンスがあるかも、と馬鹿なことを考えていた。
病室に戻ってまた天使と喋った。
天使はいつものように優しい声で話してくれた。
「今日はもう寝る?」
「うん。おやすみ。」
「おやすみ」
「あ、隣に居てほしい。幽霊出そうだから」
「うん。僕は隣にいるよ」
あの時を思い出す。
親が死んでから初めての入院で怖かったとき、天使が隣にいてくれた。
ベットに横になった時天使が
『匠くんと付き合えなかったけど落ち込んでばっかじゃなくて死んでから悔いがないように今できることをしよ』
と教えてくれた。
天使の言っていることは正しい。
匠くんと付き合えなかったからってこんなに落ち込んでいたら死んだ後絶対後悔する。
「うん。そうだね、ありがと!」
そう言ってから今できることを考えた。
考えてるうちにだんだん眠くなってきて眠りについてしまった。
朝起きていつものように天使と喋ってご飯を食べてから今できることを考えるようになった。
もう死ぬと決まっているから検査はないけど珍しい病気だからと言って入院させられているため暇で仕方ない。
天使と一緒に考えてぬいぐるみを買ったり甘いものを食べたりして幸せに過ごした。
タイムリミットはあと1週間しかない。
正直に言うと死ぬのが怖かった。
夜は天使に背中をさすってもらって寝れるか寝れないか。
日が経てば経つほど怖さが増していく。
今も天使に背中をさすってもらってる。
「大丈夫大丈夫、大丈夫だから」
天使が何度も何度も大丈夫と声をかけてくれた。
天使の優しい声で少し心が落ち着く。
「怖、い・・・」
つい声がもれてしまった。
もし今日眠れて明日起きれたとしても毎日こんなに怖い思いをするのかと思うと苦しい。
「絶対大丈夫。ほら深呼吸して」
天使に何度も声をかけてもらってやっと落ち着き、眠りにつく。
今日も寝る時間が来てしまった。
すごくすごく眠いはずなのに寝れない。
昨日と同じように天使と一緒に時間をかけて眠ることができた。
「おはよー」
「おはよ、いつも寝る時ほんとにありがとう」
「いいよいいよ!僕は天使だもん」
よく分からない説明につい笑ってしまう。
「天使の国、行きたいな」
そう独り言を言ったが外出は許されていない。
「いいんじゃない?」
天使の意外な返事に驚いた。
そんな私のことを気にすることも無く
「だって外に出るなってことでしょ?心乃ちゃんが天使の国に行ってる時は周りから見たら寝てることになってるから」
心の中で喜びの声がもれる。
「じゃあ、行きたい!」
「うん、じゃあ行こ!」
そして懐かしい感覚が蘇る。
天使の国に着いた時の安心感。
色、匂い、音、雰囲気
天使の国の全部が安心する。
その時ふと思った。
死んだらここには来れないのか、死んだら天使には会えないのか、気になって天使に聞くと「ここには来れないね、僕に会うことも多分ないと思う」
もう天使に会えないのかと思うとすごく悲しい。
悲しさでいっぱいになって動けないでいると
「帰るよー」
と天使が私の腕を掴んだ。
気づくと病室にいて天使の国にはいなかった。
その後もいつもどうりに天使と話したけど
どこかモヤモヤが残っている。
『僕と会うことは多分ない』という天使の言葉だ。
会えなくなると考えて悲しくなっていたけどもしかしたら会えるかもしれない、と少し期待している。