鳥籠の姫

大学には色々な人がおり、その中には付き合っている相手がいる人もいる。そんな人たちの話を聞いていると、香音人の言動が重く束縛じみているように見えてくるのだ。

「んんっ……」

月曜日の朝、ベッドで眠っていた美桜はゆっくりと目を覚ます。今日も大学で講義がある。支度をしなくてはならない。

ぼんやりとする頭で講義のことなどを考えていた美桜の体が優しく揺さぶられる。そして、耳元で低い声で囁かれた。

「美桜、起きて？もう朝だよ」

「きゃあ！」

唇が触れてしまいそうなほどの近い距離に香音人の整った顔があり、美桜は驚いて声を出してしまう。そんな美桜に「ひどくない？」とスーツを着た香音人は眉を下げながら言う。

「僕たち婚約者だよ？いずれ、お互いの寝顔だって見る仲なんだから」

「あっ、ごめんなさい……」

嫌でもその時はやってくる。だが、香音人との結婚から逃れることはできず、心の奥底にある気持ちに反して謝るしかない。すると、香音人の腕の中に捕らえられる。