鳥籠の姫
「だって、僕が贈ったもの以外身に付けてほしくないから」

当たり前でしょ、と言いたげな表情に美桜の口から思わずため息が出そうになる。一生分とも呼べるほどプレゼントを毎回貰うため、アクセサリーケースやクローゼットに入り切らないのだ。

そして、香音人は例え同性の友達と買ったものであっても美桜が身に付けていると、「それ、似合ってないよ。外そうか」と言ってくる。外したアクセサリーなどは香音人に回収されてしまうため、友達とお揃いでアクセサリーを買うことはできなくなった。

「あの、着替えたいので……」

チラリと時計を見て美桜が言うと、「ごめん、すぐに出て行くね」と香音人も時計を見て言う。

「今日は僕が大学まで送るから」

出て行く間際、香音人は頬を赤く染めながら美桜に向かって言う。美桜は「わかりました」と言い、クローゼットから服を取り出しながらため息をついた。

学園に通っている間、美桜も他の人たちも登下校は高級車による送り迎えが当たり前だった。だが、大学でもそれをすれば目立ってしまう。そのため美桜は最初は「送り迎えはいりません」と言ったものの、香音人に反対されたのだ。
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