鳥籠の姫
「俺、趣味で剣道やってるんだ。竹刀ずっと振ってるとマメは嫌でもできるから、問題ないよ。もう慣れたしね」
「そうなんですか……。剣道、かっこいいですね」
美桜が微笑むと、「それやめない?」と篤人に顔を覗き込まれる。彼はどこか真面目な顔をしていた。
「敬語、やめよう?俺たち同級生なんだから」
「……いいんですか?」
お金持ちの世界では、同級生であってもみんな敬語で話す。それが当たり前だった。敬語で話さなければ「品がない」と言われ、叱られてきたからだ。
「もちろん!」
「はい。……じゃないわね、うん」
敬語を使わずに話すのは久々で、どこかくすぐったい。美桜がクスリと笑うと、篤人は「これに着替えて」と紙袋を手渡す。その中には服が入っていた。だが、その服は美桜が着ている高級ブランドのものではない。
「庶民に変装すれば、お嬢様だって誰にもバレないよ。女の子は特に大変身できると思う」
篤人には同じ大学に通う姉がおり、午前の講義の合間に連絡を取り、服を持って来てもらったのだそう。
「そうなんですか……。剣道、かっこいいですね」
美桜が微笑むと、「それやめない?」と篤人に顔を覗き込まれる。彼はどこか真面目な顔をしていた。
「敬語、やめよう?俺たち同級生なんだから」
「……いいんですか?」
お金持ちの世界では、同級生であってもみんな敬語で話す。それが当たり前だった。敬語で話さなければ「品がない」と言われ、叱られてきたからだ。
「もちろん!」
「はい。……じゃないわね、うん」
敬語を使わずに話すのは久々で、どこかくすぐったい。美桜がクスリと笑うと、篤人は「これに着替えて」と紙袋を手渡す。その中には服が入っていた。だが、その服は美桜が着ている高級ブランドのものではない。
「庶民に変装すれば、お嬢様だって誰にもバレないよ。女の子は特に大変身できると思う」
篤人には同じ大学に通う姉がおり、午前の講義の合間に連絡を取り、服を持って来てもらったのだそう。