鳥籠の姫
数秒かけ、やっと返事をすることができた。美桜は香音人に手を引かれたまま、ゆっくりと手入れされた美しい庭園を歩く。立派な錦鯉が泳いでいる池や、薄いピンクの花を咲かせる桜、苔の生えた石灯籠などを見ていると不意に香音人が立ち止まる。
「紅露さん?」
どうしたのかと美桜の足も止まる。背の高い彼を見上げれば、香音人は頬や耳まで真っ赤に染まっており、美桜は熱でもあるのではないかと思ってしまう。
「大丈夫、ですか?」
個室に戻った方がいいのではないかと提案しようとした時、香音人が美桜を真っ直ぐ見つめる。その瞳は、どこか普通ではないように見えた。瞳の奥に何かが隠れていると美桜は感じ、ゾクリと寒気が走る。
「僕は、君と結婚する気でいるよ。だから君にも覚悟を持ってほしい」
香音人の口から出た言葉に、庭園を見て落ち着いた美桜の心がまた荒らされる。彼は、家のためだけに結婚という一生を決めることができるのだと、悲しみが溢れてくる。話の途中だというのに、美桜は俯いてしまった。
「紅露さん?」
どうしたのかと美桜の足も止まる。背の高い彼を見上げれば、香音人は頬や耳まで真っ赤に染まっており、美桜は熱でもあるのではないかと思ってしまう。
「大丈夫、ですか?」
個室に戻った方がいいのではないかと提案しようとした時、香音人が美桜を真っ直ぐ見つめる。その瞳は、どこか普通ではないように見えた。瞳の奥に何かが隠れていると美桜は感じ、ゾクリと寒気が走る。
「僕は、君と結婚する気でいるよ。だから君にも覚悟を持ってほしい」
香音人の口から出た言葉に、庭園を見て落ち着いた美桜の心がまた荒らされる。彼は、家のためだけに結婚という一生を決めることができるのだと、悲しみが溢れてくる。話の途中だというのに、美桜は俯いてしまった。