赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
「まぁ、美織さん本人が言うならそうかもしれないですけど。ただ、俺からしたら、美織さんを囲ってる理由には匡さんの感情が関係してると思いますけどね」
「匡さんの感情って?」
「外出する時は必ず事前報告とか使用人付きとか。子どもならまだしも、もういい大人にそんなルールを課すのは単純に大事で守りたいからでしょ。それにしたって、家柄があるにしても、ちょっと縛り付けすぎって思いますけどね」
今の生活に大きな不満はなくとも、若干の不自由さは感じていたし時間を持て余してはいた。令嬢でも何でもない私には身の丈が合わないといつも申し訳なさがあった。
でも、囲われているだとかそんな風には思っていなかっただけに、相葉くんの言葉に驚いていた。
言われてみると……たしかに、私に恋愛としての興味も関心もないのにこんなに出歩かせないのはおかしいのかもしれない。
直接的に桧山家の血筋を引いている麻里奈ちゃんだってあんなに自由にしているのに、どうして私だけがダメなのだろう。
単純に、私の存在を世間に知られるのが嫌なのだと思っていたけれど、そんなの名乗らなければ私がどこの誰かなんて周りにはわからない。
それに……と頭をかすめるのは、麻里奈ちゃんが来た時には滝さんをドア前に立たせて用心させるという匡さんの言葉だ。
匡さんは、なにをそんなに警戒しているのだろう。
そう頭を悩ませていた時、インターホンの音が聞こえた。