赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
「さっき俺が言ってた人、多分、あの人ですよ」
「匡さんとふたりでカフェで会ってた人? それって何年前くらい?」
「はっきりとは言えないですけど、二、三年前ですかね。え、じゃあまだ続いてたってことですか? 結婚式とか跨いでるのに? まじか。あの女、綺麗な顔してるのに神経いかれてるな」
そのひと言ひと言が私の胸をグサグサ刺しているとは思わない相葉くんが呆れたように笑う。
本当のところのふたりの関係はわからない。でも……あまりにお似合いに見えるから、相葉くんがそう捉えるのも無理はなかった。
「二、三年前……」と無意識に呟いていると、今度は麻里奈ちゃんが話し出す。
「麻里奈もあの人知ってる。昔から匡くんに付きまとってるんだよ。麻里奈が何度か邪魔したんだけど、匡くんは麻里奈の方を邪魔者扱いしてあの人は余裕な顔で笑ってた。あの女、既婚者だよ。なのにずっと匡くんの周りうろうろして本当にどうかしてる」
「え、そうなの?」
「うん。結婚指輪してたもん。直接聞いたこともあったけど、匡くんの前だっていうのに普通に笑顔で〝結婚してますよ〟とか言ってた。ふざけてない? ふざけてるよね? っていうか、麻里奈の方が可愛いし綺麗だよね!?」
バッと上を向いた麻里奈ちゃんが怒ったような顔で聞く。
相葉くんが「いや、まぁ、好みもあるし……」と麻里奈ちゃんを刺激しないよう当たり障りのない対応をしている間、まだ向かい合ったまま会話を続けているふたりを見つめた。