赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
「駅近くにある、相葉くんのお友達の美容院で……あの、なんですか?」
お腹に回った腕に抱き寄せられたと思ったら、うなじに柔らかいものが触れびっくりする。
それが匡さんの唇だと追って気付き、ますます驚いた。
そんなところにキスされたことなんて、思い出せる範囲ではなかった。
髪が長かったからか、ベッドの上でも背中や肩にキスはされても、うなじはなかったように思う。
唇を離した匡さんは、そのまま私を後ろから抱き締めた。
お風呂上がりのいい香りにも、背中に感じる熱い体温にもドキドキする。
「責めるつもりはまったくないが……俺以外の男にも見られると考えると気に入らない」
「え……あ、うなじをですか?」
抱き締められていることにいっぱいいっぱいになっていた頭を働かせて聞き返す。
でも、結婚式でだってアップにしていたくらいだし、むしろ髪が長い時のポニーテールの方がうなじ的にはばっちり視線に触れそうだ。
だからいまいち言っている意味がわからずにいると、そんな私になのか、匡さんが大きなため息をつく。
「今後、美容院に行きたい時にはまず俺に言え。適当な店に入って最低のサービスをされたら取り返しがつかない。美織だって気に入らないカットを施されたらショックだろ」
話題が変わってしまったので、うなじが正解だったのかがうやむやになってしまったな、と思いながら頷いた。