赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
「は、ぁ……」
きっとだらしのない顔をしていると思うのに、匡さんは近距離から私を見て満足そうに口の端を上げる。
それから私の唇に残ったどちらのものかもわからない唾液を舐めとると、そのまま私の首筋に舌を這わせる。
「え……あの……っ」
キスで終わりだと思っていただけに、その先に続きそうな雰囲気を匡さんから感じてうろたえる。
ふたりともお風呂は済ませたし、もう時間は二十二時を回っている。
日によっては、ベッドに組み敷かれている時間帯だ。
でも……と気になるのは、ここがウォークインクローゼットの中という点だった。
ここでこれ以上は……とひとりあたふたしていると、私の首筋に顔を埋めたまま匡さんが言う。
「痕を残しても、もう髪では隠せないな」
そう言いながらも、皮膚の薄い首筋に舌を這わせたり唇で軽く挟んだりする匡さんに、いつ痕がつけられるかとハラハラした。
「あの、もし髪が伸びてきても、服で隠れない場所はやめてください」
そういう行為をしました、と言っているようなものだし、そんなのは周りに知らせる必要なんてなく、匡さんと私、ふたりだけが知っていればいいことだ。
そう伝えると、匡さんが目を細める。
昔見たような珍しい微笑みに見惚れているうちに肩に担がれ、その先はベッドで続けられることとなった。