赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
「仕事じゃなく、美織さんの友人として言わせてもらいました。美織さんは何も言わないかもしれないですけど、ずっと窮屈な思いしてますよ。でも、匡さんが好きだからって我慢してるだけです。それくらい、匡さんだってわかるでしょ。庭師の腕とは関係ないですけど、もしクビにしたかったら店に電話ください。今日は失礼します」
背中を向けた相葉くんに謝りたくて追おうとしたけれど、それを匡さんの掴んだままの手が止める。
「こい」と短く命令し、長い足でスタスタと歩いてそのままふたりの寝室に入った匡さんは、そこでようやく私を開放した。
そして、ベッドに腰掛けネクタイを緩めると、冷たい眼差しを私に向けた。
「何か理由があるなら聞くが」
その声は落ち着いたものだったけれど、静かな怒気を含んでいるのがわかり、体の前で両手を握りしめる。
謝る時、人間は自然とこういう姿勢になるのだと思い知った瞬間だった。
「すみませんでした。その……バイトがしてみたくて、それで。なので本当に相葉くんのせいじゃありません。全部私の責任です」
麻里奈ちゃんの誕生日プレゼントのために、とは言わずに謝る。
動機はそうだったとしても、勝手に行動したのは私だ。
下手な言い訳はしたくなかった。