赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
明らかな嘘をつかれ、私には関係ないと突き放された。そこまではまだよかった。でも。
『匡さんを信じようと思えなくなりそうで怖いんです』
あの言葉を取り合ってもらえなかったことは、私にとってはかなりショックでその波紋はまだ大きさを変えず残り続けている。
匡さんが私に対して恋愛感情を抱いてくれているとは思っていなかった。うぬぼれていたわけでもない。
でも、昔からの付き合いだから、私に対して何かしらの情はあると思っていたし、それに……結婚してから少し距離が縮んだ気がしていたから。
昔みたいに、とは言えなくとも、毎日顔を合わせて会話を交わして触れ合っている中で少しずつだけれど、匡さんの気持ちに触れられてきている気がしていたから。
だから、私からの信頼も必要なく、私が怖くてもどうでもいいと暗に言った匡さんの態度が余計にショックだった。
そんなだから、妊娠しているかもしれないという話は誰にもできずにいた。
「せっかく麻里奈が遊びにきてあげてるのに、そんな見るからに退屈そうにするとか失礼すぎるんだけど」
麻里奈ちゃんの声にハッとした。
慌てて顔を上げると、向かいのソファに座った彼女は眉を寄せて私を見ていた。
不機嫌をこれでもかというほど主張している態度に、苦笑いを浮かべる。