赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました


「麻里奈もあの女のことは気になってたんだけど、情報がなにもないから調べようがないんだよね。今度見かけたら強引にでも名乗らせる。そしたら、女の素性もわかるし匡くんとの関係だってハッキリすると思う。だから……ちょっとだけ待ってて」

少しだけ照れたような、不貞腐れたような顔で言われる。
私のためにそんなことを言い出してくれた麻里奈ちゃんにうっかり感動して言葉を失っていたとき、インターホンが鳴った。

そういえば、一時期はよく鳴っていたのに、ここ最近は少し静かだったな、と思いながら滝さんが対応するのを眺めていると。

「あ……あの、少々お待ちください」

モニターを確認した滝さんは、チラッと私の顔を見てから玄関へと向かった。

そして、数分後、リビングに戻って来た滝さんの後ろには、今話題に挙がっていた赤い傘の女性が笑顔で立っていたのだった。


「どういうつもり!? 旦那がいる立場で匡くんの家になんて上がり込めるとか神経疑うんですけど。匡くんの不在を狙って来るとかせこいと思わないの? 言っておくけどこの美織さんはちょっとやそっとの意地悪言われたところでへこたれるような繊細な人じゃないから。ただちょっと今は落ち込んでるから麻里奈が代わりに受けて立つ!」


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