赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました


「匡さんが忘れ物をされたので、それを届けに上がったんです。それに、ずっと美織さんと直接お会いしたいと思っていたので訪ねてみたのですが……念願が叶って感動しています。匡さんにはずっと美織さんとの接触は反対されていたので」
「反対……」

匡さんが反対していたということは、やっぱりやましい関係だからだろうか。
そもそも、沢井さんがこうして乗り込んできた目的は本当に匡さんがした忘れ物を届けにきただけなのだろうか。

わからないことだらけで何も言えずにいる私に、沢井さんは尚も微笑みを向け話しかけてくる。

「明日はご実家に帰られるんですよね」
「え……匡さんから聞いたんですか?」
「はい。実は微力ながら私がすすめたんです。美織さんの元気がないと匡さんが心配していたので、お母様に会うのもいいんじゃないかって。やっぱり、急に生活する場所が変わるのは疲れるものですから。その辺、匡さんは気が回っていないようでしたので」

全部わかっているような顔で言う沢井さんに言葉を失う。

匡さんが私のことを沢井さんに話していたという事実がショックだった。だって、私には沢井さんのことを話してくれたことはなかったから。

「匡さん、優しい方ですけど少し不器用なところがあるので、もう少し直接的に気持ちを伝えた方がいいといつも助言させていただいているんですが、匡さんも思うところがあるみたいで……はたから見ていると正直、じれったくもあるのですが、美織さんのことは本当に大事にされていますよ」


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