赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました


「そうですね。表には出せないですが……匡さんは私のことを信頼してくださっていると思います」
「うわ、信じられないっ! こっちは場合によっては慰謝料請求できるんだからね!」
「何の慰謝料かは気になりますが、相応の証拠が手元にあるんですか? あるようでしたら応じますよ」

一応私が当事者だと思うのだけれど、麻里奈ちゃんと沢井さんがあまりに白熱しているので口が挟めない。

それどころか、さっきよりも麻里奈ちゃんが暴走しているからか、私は冷静になりつつあった。

沢井さんのこの自信はどこからくるのだろう。

普通、桧山家に慰謝料を請求されるなんて言われたら誰だって青くなる。
それなのにここまで余裕でいられるのは、事実無根だから……?

いや、でも、ふたりきりで何度も会っているのは事実だし、それに沢井さん本人も〝表に出せない関係〟だと言っている。

つまり……どういうこと?

「沢井さん。本題へ移っていただけますか」

わなわなと震える麻里奈ちゃんを宥めながら滝さんが言うと、沢井さんは少し申し訳なさそうに笑ってから私に視線を戻した。

そして、バッグの中から取り出したものをテーブルの上に置く。



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