赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
「ねぇ。匡さんは私が好きだから結婚したんだと思う?」
じっと見つめて聞いた私に、母はキョトンとした顔をした後、脱力した笑みを浮かべた。
「もちろん。あんなに美織を好きになってくれる人なんて、どこを探してもいないんじゃない? 両想いなのに、ふたりしてずーっと片想いみたいな顔してるから不思議だったのよね」
母が呆れたように言った瞬間にインターホンが鳴った。
母が玄関を開けて迎え入れたのは匡さんで……少し焦っても見えるその顔は、いつか私が『助けて』とすがりついたときと同じに見えた。