赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
私はごく普通の進学コースを通ってきた。少し調べれば現状なんてすぐにわかりそうなのに、毎回答えにたどり着かずただ指を咥えていたのだろうか、と思っていると、匡さんが答える。
「接触は計っていたが、こちらが阻止してきただけの話だ。……まぁ、ここまできて隠す必要もないから言うが、沢井さんは美織につけているシークレットサービスだ」
「え……えっ!?」
「あの事件直後から美織に……というよりは、叔父を見張らせている。なにか動きがあったり美織に近付いたりするようなら父や俺に連絡が入るようにしていた。美織の父親の兄弟をこう言うのも悪いが、話した印象からして、あれはどうしようもないクズだ。相当な痛い目を見ない限りは懲りない」
「どうせそのうちにまた接触してくるだろうって踏んで、ずっと……?」
だって、あの事件以降なんて、相当だ。
約十五年もの間、ずっと……?
まさか、という思いで聞いた私に、匡さんは当然と言わんばかりの顔で頷いた。
「ああ。実際に何度も近付いてきた。中学の頃に一度、高校で二度。美織が大学に上がった頃にある女性と同棲を始めたため少し落ち着いたが、半年前に部屋を追い出され、それからまた周りをうろうろし始めた。滝からの報告では、この一カ月でうちのインターホンを六回は押している」
その言葉に、いつかの滝さんの様子を思い出す。